為替が動く
昨日の日経平均は小幅高。
何度か15000円を割る局面がありましたが、結局、回復しました。
連日、窓を開けての上昇なのに強い動きです。
昨夜のNYの上昇を受け、今日、ふたたび、
4月高値(15164.39円)を取りに行く局面があるでしょう。
6月3日に拾った日経平均先物の売り玉(15090円)は、
昨夜、同値で撤退し、ノーゲームとしました。
とはいえ、すでに短期的な「異常値」といえる水準まで超スピードで上昇した後です。
25D乖離率も+5%に差し掛かります。
そろそろ調整が入らなければおかしいところでもありますので、
引き続き、「上の異常値」での売り戦略を維持します。
もう週の後半に近いですので、
これまでの2回と違い、次あたりに拾った「玉」が本命のような気がします。
もちろん、「何十年に一度あるかないか」の上昇も皆無ではないので、
様子がおかしいと感じたらすぐ逃げますが。
いずれにせよ、今日、明日の値動きに注目です。
今日のECB理事会、明日の米国雇用統計で、
為替が大きく動く可能性があります。
為替は相場の「基礎体温」を決めますので、
ユーロとドルがどっちに振れるかで、
日経平均の進撃が止まるか、もう一段の上昇があるかが決まります。
5月後半からの上昇はすでに「数年に一度あるかないか」というレベルですが、
これが「数十年に一度あるかないか」のレベルの上昇になるかどうかは、
やはり為替次第、海外勢次第です。
そして、それだけは本当に「予測不能」です。
日本市場はやはり「円安=株高」ですから、
口に出しては言いませんが、政策当局は円安に誘導しています。
とはいえ、為替がどっちに振れるかは、日本政府にはわかりません。
以前、財務省の友人、日銀の友人と会食した際に印象に残ったことをご紹介します。
優秀な日本の官僚が、国家秘密をぺらぺらしゃべることはありませんから、
いわゆる情報リークを受けるような会合ではなかったのですが、
情報を交換するうちに、お互いになんとなくの空気は読みとれます。
永田町も霞ヶ関も、鮮度と精度が高い情報をどの程度持ってるかが、
その人の「実力」ですから、そこはいつも以心伝心。
政策は結局のところ、決定権者の胸先三寸で決まりますが、
政界、霞ヶ関、財界、そして国際環境の間で、徐々に「相場観」が醸成されます。
これを知っているといないのではえらい違いであることは、
プロはみんな、こうやって情報を交換しています。まあ、そういう会合です。
ところで、その会食での話。
財務省の友人と、日銀の友人に、四方山話のついでのふりをして、
「で、結局のところ、為替はどうなるの?」と水を向けたら、
二人の顔から笑顔が消え、真顔ではっきりと言いました。
「いや、為替だけはわからないんです・・・」
「うん。為替だけは・・・」
株式市場ならば、財政政策や金融政策に素直に反応します。
国際情勢に大きな変化が発生したり、
「相手」となるヘッジファンドがいろいろ仕掛けても、
時間がかかったとしても、それなりの対策がとれます。
短期的、中期的には相場が攪乱されても、
長期的には政策的に誘導したい方向に持っていくことが可能なのです。
(民主党政権下では霞ヶ関がボイコットしてこれを「やらなかった」だけ)
しかし、為替は違います。
政府が市場と相対でやりとりしているのではなく、
日本政府と外国政府が駆け引きをし、しのぎあってるところに、
その隙と乱れをついてヘッジファンドが攻めてきます。
そもそもが、対ドル、対ユーロでは、
あちらのほうが経済規模が3倍も大きいのですから、
日本政府の政策的意図よりもあちらの意向が通りやすいきらいがあります。
実際、プラザ合意以後は、基本的に日本に不利なように、不利なようにと
円高にシフトし続けてきたのが為替の歴史です。
例外的な事例として、イラク戦争で「同盟」した小泉政権下や、
東日本大震災直後とか、アベノミクス初動のように、
日米、あるいはG7間で政策的な合意がある場合は円安に動きますが、
基本的に思ったようにいかないほうが多いと考えていますし、
そう考えて相場に向かったほうが安全だというのが私の経験則です。
「儲け損ない」よりも、リスクを重視するのが私のスタンスです。
派手さはなく、マンネリ気味でつまらないかもしれませんが、
地味で堅実なほうが圧倒的にパフォーマンスがいいのは事実です。
ともあれ、結局のところ、思ったようには動いてくれず、
どちらにいくのか予想がつかないのが為替です。
実際、昨日、ざっと眺めただけでも、高名な専門家諸氏が、
「円高の夏。92円を目指す」
「円安の夏。110円を目指す」
と全く正反対のことを言っています。
どちらもなんらかの政策意図を表現しており、その意味では正しいのですが、
実際の為替相場の動きがどうなるかは、誰にも全くわからないのです。
もちろん、
米国当局は1ドル105円以上をあんまり好んでおらず、
日本政府は1ドル95円以上はできれば維持したいくらいの、
漠然とした「双方にとって居心地のいい水準」はあります。
しかし、その範囲内にあるうちは、どっちに転んでも不思議ではありません。
ただ、今日のECB理事会、明日の米国雇用統計では、
欧州中銀(ECB)のさらなる緩和が予想され、
また、米国FRBのテーパリング・スケジュールに変化の可能性があります。
リーマンショック以降の世界経済は、
「より大きく緩和をした国の通貨が安くなる」という単純なルールに支配されていますが、
日銀の緩和政策は今が目いっぱいである一方、欧州、米国ともにまだ緩和余地があります。
私はこの点に注目しています。
もちろん、欧州、米国ともに引き締めに転じて、日本円だけが独歩安というシナリオもありますが、
その逆が発生した場合のリスクと、かつ、直近の上げが異常だったという前提も踏まえ、
私は今週になって「円高=株安」の方向でポジションをとっています。
もちろん、これは今の株価位置が「異常」と感じるからできる戦略です。
思惑が外れて、もう一段、株価が吹き上がっても、踏み上げを食らう前にさっと逃げ、
より上の「異常の異常値」で待ち伏せすればいいだけの話。
最悪、逃げ遅れたとしても、
暴騰後に必ず発生する調整で相場が戻ってくるのを待つか、
より高値でナンピンを仕掛けてうまく逃げるという手があります。
こうして「異常値」において何重にもリスクヘッジをしたうえで勝負するというのが、
かねてから私がブログやメルマガで申し上げてきた、私の投資スタイルです。
さて。今週のECB理事会と米国雇用統計をどう乗り越えるか。
来週の日銀決定会合とメジャーSQでどんな波乱が起きるか。
ひさびさにワクワクする日々が続いています。
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