官邸と財務省とアベノミクスの未来。
(午前0時の更新です)
昨日の日経平均は反落。
ただ、一時は540円もの大幅下げだったものが、
引けにかけて相当に下げ幅を縮めていますし、
終値では2万1千円ラインを回復しています。
権利落ち分を考えるとさほどの下落ともいえず、
むしろよく踏ん張ったという印象も受けます。
為替が1ドル106円近くまで戻していることや、
金正恩夫妻の電撃的な訪中と中朝首脳会談、
そして国内政局で予算案が順当に成立したことなどで、
先週末のパニック的な状況はだいぶ後退しており、
一方的に売り込んでいくのもリスクがあります。
ただし、まだ積極的に買い上がっていくほどの、
良い材料が出ているわけではありません。
米中の「貿易戦争」が回避されるのかどうか、
トランプ大統領本人の考えはまだ不明です。
金正恩氏の言う「核放棄」が信用できるかも、
「核放棄」してもそれで情勢が安定するのかも、
どちらも現時点では不明という他はありません。
また、安倍政権が「突然死」を回避して、
「粘り腰」で存続と延命を模索するといっても、
支持率の回復にはよほどの「神風」が必要ですが、
「反転攻勢」をどうするかはこれからの課題です。
もっとも、野党のほうに水面下で動きがあり、
「森友事件」の追及の勢いを随分削ぐような話が、
今日あたりから本格化する予兆も急浮上しています。
ここ数日の国会攻防は政権・財務省の「勝ち」というより、
野党側の甘さによる「敵失」の要素が濃いですが、
安倍政権が絶体絶命の窮地にあるというこのタイミングで、
まだ野党同士の内ゲバが激化するというのであれば、
本当に野党の指導者達は●●という他はありません。
いずれにせよ政権にもうひと息つく余裕があれば、
「反転攻勢」の取り組み方も変わってきますので、
日経平均も少し明るさを取り戻す可能性はあり、
引き続き政治情勢に要注目です。
さて。
ここからは政局というよりも、
政策に関する話になります。
少し気になるのは今回の「森友事件」を通じて、
官邸と財務省の力関係が大きく変化していることで、
これが政権の経済政策を変化させかねないことです。
財務省はほとんど瀕死ともいえる深傷を負いつつ、
それでも政権を守るために全力を尽くしているのに、
毎日毎日、与党議員からも罵倒・侮辱され続けており、
それでも平身低頭、頭を下げ続けています。
しかし財務省がただで頭を下げることはあり得ません。
永田町・霞ヶ関の一般的な感覚からすれば、
この状況はとてもとても恐ろしいことに感じられ、
この代償はかなり高くつくと考えられています。
前号メルマガ(第205号:3月25日)で書いたように、
政権側はGW連休をメドに「反転攻勢」に転じて、
政権と株価を浮揚させるつもりのようですが、
しかし財務省に巨大な「借り」ができたことで、
経済・財政政策の根本的な部分で、
逆に財務省に対して「忖度」を余儀なくされかねません。
これはアベノミクスの根幹にもかかわり、
今後の株価シナリオにも影響しそうな話ですので、
次号メルマガ(第206号:4月1日)で分析します。
政権を批判したり、あるいは擁護したりと、
いろんな人がいろんなことを議論していますが、
政治や権力が絡む世界というのは、
表層的でもなく、生やさしくもないことは、
「基礎知識」として頭に入れておきたいところです。
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