これが政治の恐ろしさ、これが相場の恐ろしさです。

「7-9月期のGDPマイナス1.6」は、あらゆる悲観的予想をさらに下回るものでした。

最大の問題は、安倍政権とアベノミクスの信認そのものに、黄信号が灯ったことです。

与野党だけでなく、マスコミ、学者、市場関係者の全てに対して、

財務省を中心とした政府が行ってきた説明は、全部が全部「真っ赤な嘘」でした。

これを察知しながら増税路線の答弁を続けてきた官邸も、ほとんど同罪と言え、

実際、昨日から各方面で安倍政権そのものへの不信と不満が渦巻いています。

「さらりと嘘をつけるリーダーを信用していいのか」というのが、

内外の関係者の怒りの本質にあります。由々しきことです。

私自身を含めて、各方面に「騙された」という不満が渦巻いています。

実際、「悪い」とは聞いていましたが、事前の説明は+0~2%程度でした。

みんなしてこの数字を前提に戦略、政策を練ってきたのに、それすら嘘だったのです。

失望、怒り、ショックの広がりは、相当のものです。

遅くとも10月後半にはだいたいの数字が出ていたはずですが、

意図的に嘘を流したのか、それとも失速を把握すらできなかったのか。

もし、後者であれば、それはそれで大問題です。

そもそも、「景気回復」を看板にしてきた内閣が、これだけの景気失速をもたらせば、

それだけでもう、信認問題に発展しかねません。

リーダーとしての安倍総理個人に対する信頼や忠誠が急速に失われるなか、

「そもそも、アベノミクスでいいのか?」という根本的な疑問が渦巻いています。

それゆえ、政権は今、かなり切羽詰まった局面にいます。

本日、総理が最終的な増税判断をし、解散のあるなしを決めることになります。

事前説明の通り、+0~2%ならば「解散して信を問う」という理屈も通りますが、

昨日出されたGDP速報には、増税を許容する如何なる根拠もありませんから、

消費増税をするしないというのは、もう議論の対象ですらありません。

また、2年前の「三党合意」で通った法律には「景気条項」がついており、

「景気失速」が明確になった瞬間に、増税は「できない」と最初から決まってます。

それでも財務省も有識者も「増税して、景気対策を・・・」と言っていますが、

もともとの法律からして、景気失速した後、増税するのは法律違反なのです。

本来であれば、法律の通り、粛々と増税を見送るべき局面です。

ならば今、国会を早期閉会してまで解散し、何を争うのでしょうか。

選挙の構図と争点次第では、政権は大きなリスクを負うことになります。

ほぼ全政党が「増税見送り」となったため、

総選挙は必然的に「では、どういう経済政策をとるべきか」で戦われます。

もし、「アベノミクス失敗」という認識が国民の中で広く既成事実化して、

「アベノミクスでいいのか?」がという疑問の声が濃くなれば、

自民党は大きく票を減らす恐れがあり、場合によっては選挙公約において、

「アベノミクス修正」を盛り込まざるを得ないかもしれません。

無論、それが悪いというわけではありません。

私としてはそれによって、本来、最初に打つべきだった「第3の矢」を、

選挙公約として強調せざるを得なくなることを「期待」しております。

安倍政権が毅然として「構造改革」に着手するのであれば、

増税延期や景気対策の効果とあいまって、

やはり、株価は18000円、20000円と上昇していく可能性があることは、

ずっと以前からメルマガ等で指摘しているとおりです。

これが、GDPショックを受けた安倍総理の決断で、株価がさらに上昇するシナリオ。

今日の増税見送り判断の際、安倍総理が「構造改革(第3の矢)」に言及し、

「痛みを伴う改革」で「アベノミクスを加速させる」という確固たる根拠を示せば、

昨日の大暴落から一転して、相場の空気はまた上昇基調に戻るでしょう。

しかし、総理個人の信認にまで疑問符が投げかけられた今、

党内抵抗派が力を盛り返し、構造改革どころでなくなれば、

「アベノミクス」はその時点で「終わる」可能性があります。

いわば「ポスト・アベノミクス」へ移行するシナリオですが、

その「ポスト・アベノミクス」政策を、市場が歓迎するかどうかわかりません。

これまででさえ、抵抗勢力に気兼ねして、やるべき改革に着手できなかったのに、

「経済は好調」という金看板を失った安倍総理にどこまで指導力が保てるのか。

野党が揃いも揃って無茶苦茶なので、与党が大敗することはないでしょうが、

まとまりの悪い大所帯の自民党が、それぞれの既得権益の擁護に動けば最悪です。

党内リーダーシップも政策議論も迷走し、再び「悪い自民党」に戻るでしょう。

忘れてはならないのは、「失われた20年」を招いたのは、自民党だということです。

「悪い自民党」の時代が戻ってくるのは、国民、国家にとっての悲劇です。

国力を失った上に、与党は決めるべきことを決めることができず、

そこに「悪い円安」「悪いインフレ」が進行すれば、国民生活は最悪になります。

そういうシナリオが囁かれてきたら、株式市場も上昇どころではありません。

そんなわけで、安倍政権は自身の拠り所としてきた「株高政策」を継続できるのか。

政権も、日本国民も、またしても、一瞬にして窮地に立たされました。

ただし。

それでも、あえて言いますが、アベノミクスはまだ終わっていません。

ここまで詳しく説明してきたように、

今日、明日と総理がどういう一手を繰り出すかで、逆風を跳ね返すことも可能です。

おそらく、本日夕刻の総理演説(予定)で、いったん株価は元に戻しかけるでしょう。

そして、選挙の構図と、選挙公約次第では、再び日本株は上昇基調に戻ります。

自民党と安倍内閣を支持される方は、是非、応援してあげてください。

しかし。

投資家としては、一時的にスタンスを見直す局面だと考えます。

一昨日までと違って、「安倍内閣信任問題」、「アベノミクス終了の可能性」が、

今後、起こり得るシナリオのひとつとして浮上してきています。

そうなったときは、長期の経済見通しが根本から崩れてしまいます。

したがって、「安倍政権存続」、「アベノミクス継続」を前提にして買った、

先日の「解散銘柄」は、その前提が崩れた以上、総手仕舞いします。

「解散銘柄」を選定した後、日経平均は急上昇し、昨日の暴落を迎えたわけですが、

私がメルマガやブログで指摘してきた通り、17000円前後をサポートとして、

いったん下げ止まっています。

「解散銘柄」は17000円前後にサポートが存在することを見越して、

ちょうどこの水準で買っているものですので、

ここか、ちょっと戻したところで見切れば「引き分け」で済みます。

(手数料+アルファは必要経費です)

そして、その上で、本日の総理演説から始まる壮大な駆け引きを見守ることとします。

上昇するにせよ、奈落に落ちるにせよ、数年に一度、あるかないかの大勝負です。

「安心、安全、堅実」に利益を得るポイントを見極めるためにも、

一切、目が離せない展開が続くと思われます。

いずれにせよ、少なくとも選挙戦が終わるまでは、一瞬たりとも気を抜けません。

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