「酉年解散」の効果とリスク。
(午前0時半の更新です)
昨日の日経平均は大幅上昇。
解散効果への「期待」で年初来最高値を更新です。
与党側が解散は「ここしかない」と主張するのは、
野党の体たらくを見てのことですから、
野党側の選挙準備が不調に推移する限り、
安倍政権が敗れる可能性は薄いとみられます。
もちろん、それぞれの選挙区において、
きれいな形で「与党vs野党」の構図になれば、
安倍自民党は相当に苦しいことになりますが、
昨日までの情報を勘案する限り、
前原民進党は共産党との「共闘」に後ろ向きであり、
細野氏ら「小池新党」は数少ない擁立候補者を、
東京を中心に民進党候補にぶつけるという構えです。
このままでは野党候補が潰し合いを演じるわけです。
ただでさえ野党側の自滅行為が誘発した選挙なのに、
「乱立した他党が勝手に自滅した」といわれた、
過去2回の衆院選と似た構図が再来しつつあります。
おろおろする野党の混乱ぶりをみる限り、
現時点では「奇襲効果」はあったといえます。
与党側は「しめしめ」というところでしょう。
「しめしめ」はまだあります。
これまで「腰砕け」ぶりを演じていた米軍が、
再び半島周辺に展開して「危機」を煽っていることも、
安倍政権の求心力を再強化させています。
「10月10日の公示日にはまた北朝鮮が、
核かミサイルで『前祝い』の祝砲を上げるだろう」と、
今の段階から軽口を言う与党関係者もいます。
北朝鮮だけでなく欧州でも中東でも、
シャレにならない軍事的な「危機」が高まっており、
「安保法制」や「組織犯罪処罰法」の廃止を求める、
野党側にはかなり苦しい展開であるのも事実です。
今年は苦しい政権運営が続いた安倍総理でしたが、
ようやく「勝利のシナリオ」を見出した格好です。
ただし。
昨日も書いたように政権側の「勝利のシナリオ」は、
まだその通り行くと決まったわけではありません。
解散の表明が意外に早かったこともあって、
相手に立て直しの時間を与えたきらいもあります。
昔から、「政界は一寸先が闇」ですし、
また、「好事魔多し」ともいいます。
上記で書いたように現時点ではまだ、
野党側は奇襲攻撃を食らって動揺していますが、
野党は野党なりの「勝利のシナリオ」を模索中です。
安倍総理は今年の年頭会見のなかで、
「酉年解散」に言及したことを思い出しますが、
ひとつ前の酉年(2005年)は「郵政解散」で、
自民党側が歴史的な大勝を収めた一方、
そのひとつ前の酉年(1993年)の解散総選挙では、
事前に「与党勝利」とみられていたことから一転、
解散後に「非自民」の諸政党が勢力を急伸させ、
自民党は政権から陥落する憂き目にあっています。
「安倍政権が必ず勝つ」と断言することは、
やはりまだ少し時期尚早といえますので、
次号メルマガ(第179号:9月24日)では、
主に野党のキーマンの動きについて、
少し気になる動きについてお伝えします。
ところで。
昨日の株式市場は久々のお祭り気分になり、
2年ぶりの株価上昇のニュースに湧きましたが、
このまま安倍政権が無難に勝利するとしても、
どれだけの「景気浮揚」の効果があるか、
そしてどれだけ「リスク」を増大させるかは、
冷静に判断する必要があります。
総理が帰国して「解散の大義」を語るまで、
なんとも判断できない部分がありますが、
リークされている内容から判断する限り、
足元では一定の「景気浮揚」が「期待」できる一方、
そこから派生的に出てくる「リスク」による、
「アベノミクス後」の経済運営については、
少し「不安」が高まりそうです。
「10月総選挙」という不意打ちを喰らったのは、
野党だけでなく霞ヶ関も同じではありますが、
中央官僚は「衆院選後」の景気浮揚効果のことも、
また、将来のリスクについても鋭敏に意識しつつあり、
冷静にシナリオの見直し作業を進めつつあります。
解散の景気浮揚効果とリスクを押さえておくことは、
この上昇局面での上値目途についての判断や、
私達の将来的な資産計画に直結することですので、
これまた次号メルマガで詳しく分析する予定です。
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