(午前0時の更新です)

GDP速報値は、良いとも悪いとも言い切れない微妙な内容でした。

これを受けて永田町全体に妙な戸惑いの空気が流れ、

市場も買うか売るかはかりかねたようです。

これだから、指標というのは開けてみるまでわかりません。

前号メルマガ(第108号:5月15日)に書きましたが、

最近、日本経済の基礎力向上を物語る指標がいくつか出ています。

(可能性は低いながら)GDP速報値が極めて良好であったならば、

経済の先行き不安が払拭され、日経平均も買われたはずです。

一方、(大方の予測の通り)GDP速報値が非常に悪ければ、

即座に安倍総理に増税凍結(延期?)の「口実」を与え、

参院選(衆参ダブル?)を前にした「玉」(政策)も、

かなりパンチの効いたものになっただろうと思われます。

政府が断固として動くならば、株価も上昇するはずです。

しかし、「うるう年要因」を除けばさほど高くもなく、

さりとて、中国危機等のわりには意外に堅調な数値であるという、

極めて微妙な指標が出てしまいました。

自公首脳会談では増税延期の話は出なかったと報じられましたが、

実際のところ、総理自身は考え込んでいることでしょう。

昨日で相場の方向性がはっきりするかと思いきや、

政府が何をするのか明確に示されていません。

党首討論で総理は、増税判断を「専門家に委ねる」と逃げました。

また、「骨太の方針」の一部がリークされたようですが、

選挙対策の無難なスローガンが散見されるものの、

日本経済と日本市場の在り方を根本から変えるような、

本格的な「政策転換」につながるとは思えないものばかり。

公表された「一億総活躍プラン」の概要も、

示す方向性は悪くないのですが、全てはこれからです。

全体的に「期待」は高まらず、「失望」も招かず。

このように判断に苦しむ材料が相次いだ結果、

一時、16800円近くまで上昇した日経平均も、

結局、16600円を挟んで乱高下する展開となり、

なかなかこのラインをクリアに抜けません。

メルマガでも逐一ご報告していた通り、

かなりの「期待」をかき立てる勇ましい方向性が、

総理周辺からしきりに出てきていた4月の半ば以降は、

「期待」の風に吹き上げられて日経平均も上昇しましたが、

結局のところ、今にいたるも具体的な中身は見えません。

これではサミット後に出る「玉」が「期待外れ」に終わったら、

「期待」で吹き上がったぶん、値を消すことになりかねません。

さりとて、「期待」通りに大規模な「政策転換」を断行するほど、

各種の指標が悪いというわけでもありません。

総理にとっては大きなジレンマといえます。

このように、GDP速報値をめぐる「5月のクライマックス」は、

なんともはっきりしない結果で通過することになり、

政府がどう「対応」するのか未だ判然とせず、

株価も16600円を挟んで行きつ戻りつの「気迷い相場」です。

市場の関心は、サミットの中身、そして「その後」に移りますし、

上昇する前提条件は整いつつあるはずなのですが、

私としてはなんともいえない「ヘンな感じ」も抱いています。

具体的にはまた次号メルマガ(第109号:5月22日発行)で。

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