総理の足元から「暗雲」が立ち上りました。
(午前0時半の更新です)
安倍総理の「一世一代の晴れ舞台」が無事に終わり、
メディアはサミットと広島訪問一色になりました。
政権支持率にも、かなり浮揚効果があったと思われます。
総理も「増税」と「解散」について最終決断し、
いよいよ今週、政府の「玉」が一斉発射されます。
「よほどのこと」がない限り、
前号メルマガ(第110号:5月29日発行)に書いた、
例のラインまでは日経平均は上昇する可能性が高いと、
同号を執筆した時点で私は考えていました。
・・・が。
その後、かなり気になることが起こっています。
政権内、与党内、霞が関からの猛反撃です。
総理の決断に副総理が真っ向から異議を唱え、
これに内閣及び与党の中枢が同調する動きが飛び出しました。
もはや、総理が事態をグリップできているとはいえません。
実のところ、こうした予兆は以前からありました。
安泰と思われた安倍政権の足元で進行中の事態について私は、
第108号(5月15日発行)で「安倍降ろし」の動きに触れ、
第109号(5月22日発行)では「財務省の抵抗」を分析し、
一歩間違えると大事に至りかねないことを書きました。
また、前号メルマガで詳しく書いたように、
官邸内では奇妙な権力闘争や勢力争いが進行中ですし、
「増税延期」「参院選集中」という総理決断を受け、
与党内の不穏な動きが警戒されていたところです。
そこにこうした話が降って湧いたわけです。
ただ、「正論」を言うなら、総理に分が悪いです。
サミット後に内外からの批判が相次いでいるように、
総理の決断は「論理破綻」をきたしています。
まず、「リーマンショック級の危機」という現状認識は、
現時点で、世界の大勢を占めているとはいえません。
それなのに、日本の国内政治上の案件解決のため、
無理やり、首脳宣言に盛り込んだわけですから、
国内外から批判が出て当然と言えます。
また、今、直面する危機が「リーマンショック級」でも、
それをもって増税を延期する理由にはならないことは、
当たり前の論理的思考をすればわかる話です。
アベノミクスは、そもそもが増税を前提としており、
そのアベノミクスがうまくいっているのであれば、
これから来る危機への対抗策としての最適解は、
「増税してアベノミクスを着実に進める」ことでしょう。
少なくとも、増税の延期うんぬんといった政策転換は、
リーマンショック級の危機が発生して考えるべきこと。
確かに、増税を強行すれば「日本発の世界恐慌」が、
来年のなかばに発生する懸念はあるのは否定できませんが、
それはすなわち「アベノミクスの失敗」を意味するのであり、
「結果責任」を問われる安倍内閣が総辞職すべき事柄です。
…と、少なくともこれが「財務省の論理」であり、
これはまさしく論理的な「正論」であるため、
実際、ちょっと前まで安倍総理はこの論理に乗っていました。
それなのに満足できる論理的な説明もないまま、
「これから来る危機」を理由に増税を延期するというのです。
財務省らは総理が「論理破綻」していると厳しく指摘し、
多数派工作による猛反撃をさらに強めていますし、
増税と解散をめぐる総理の「論理破綻」について、
麻生副総理や谷垣幹事長の認識は、財務省と一致しています。
実際、衆院総選挙での約束を反故にするのであれば、
やはり衆院をもう一度解散して信を問うのが筋であり、
麻生副総理の主張はぐうの音も出ないほどの正論です。
前号メルマガではこうした事実を指摘した上で、
特に与党内からの不穏な動きを警戒したわけですが、
日曜日のうちに一挙に顕在化してしまったわけです。
政府・与党の中枢中の中枢である、
副総理、官房長官、自民党幹事長らと、
安倍総理の意見のズレが表面化するのは、
第2次安倍政権発足以来、初めてのことです。
「憲政の常道」に照らせば、これだけ重要閣僚と見解が相違し、
さらに政府と党の意見が異なった場合、内閣は即時に潰れます。
安倍総理はこれから麻生副総理を説得するそうですが、
「閣内不一致」の表面化は内閣の不信任に値するというのが、
従来からの日本の議会慣例でもあります。
(安倍内閣はこれまで幾多の議会慣例を破ってきましたが)
じわりじわりと水面下で進んできた「安倍降ろし」が、
これを機会に一挙に表面化するようであれば、
それはやはり「よほどのこと」であり、
一歩間違えば安倍政権もアベノミクスも終わります。
明日、明後日と政権側の「玉」が一斉発射され、
日経平均にも相当な上昇圧力がかかると考えられた矢先、
わずか一日で、政権の足元から「暗雲」が立ち上りました。
やはり、「政界は一寸先が闇」です。
6月には外部要因を中心とする「暗雲」も予想されます。
サミットの華々しい晴れ舞台が終わった直後に、
安倍政権はいきなり「正念場」を迎えています。
国会閉幕まで3日間。
総理の決断にともなうこの「正念場」は、
総理自身がマネージメントするしかありません。
「よほどのこと」にならないように、
いったい安倍総理はどんな策に出るのでしょうか。
この3日間、永田町の権力模様から全く目が離せません。
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