12月24日、第3次安倍政権が発足します。

マーケットの注目は、安倍政権がもたらす「クリスマス・プレゼント」です。

「第1の矢」は十分すぎるほどの「恵み」をくれました。

では、約束どおり「第2の矢」はどうなるか。(補正・本予算)

そして、世界が注目する「第3の矢」は。(成長戦略)

いよいよ今年も残り10日を切りましたが、

最後の最後にどんな「玉」が飛び出すかで、

日経平均は大きく上か下かに動くかもしれません。

総選挙後、先週1週間の動きをみる限り、「おや?」と思う変化がみられます。

前号メルマガ(第35号:12月21日発行)で詳しく書きましたが、

選挙戦の最中には全く言ってこなかった政策を、いくつか断行しそうです。

ある層の人々にとっては梯子を外された形になりそうですが、

別の層の人々にとっては「いい意味で」の裏切りになるかもしれません。

読者の皆様はすでにお分かりのとおり、私は「プロ」ですから、

イデオロギーや好き嫌いで政党をみることは絶対になく、

自民党であれ、公明党であれ、民主党であれ、維新の党であれ、

良い政策には、はっきり「良い」と言い、悪ければ論理的に批判します。

こうして立場を明らかにした上で、「客観的」な「歴史的事実」を言うならば、

「失われた20年」を招いたのは、誰がどう考えても自民党です。

そして、自民党がダメにした日本を、民主党が壊してしまったわけですが、

では、元の自民党に戻ったからといって、何かが改善するわけではありません。

第2次安倍政権に内外の人々が期待したのは、彼が第1次政権でやりかけた

「古い自民党的なものからの脱却」を、今度こそは完全にやり遂げ、

「失われた20年」を招いた社会・産業構造の停滞を打ち破ることでした。

しかし、党内基盤が弱く、財務省に押しまくられた第2次安倍政権の2年間は、

最初に「第1の矢」の「異次元緩和」で世界を「あっ」と言わせたのを最後に、

「古い自民党的なもの」を打ち破るどころか、

旧態依然たる「既得権益擁護」、「利益誘導」といった政治に終始してしまいました。

「第1の矢」はヒットでしたが、あとの2つがいけません。

「第2の矢」と言えば聞こえはいいですが、

要するに増税して、票目当ての公共事業のバラ撒きに使っただけですから、

不況下での増税だけはしなかった昔の自民党と比べても、さらに悪いわけです。

そして、「第3の矢」というのは「掛け声だけ」の「やるやる詐欺」。

コーポレート・ガバナンスや、(一応)電力自由化、(途中までの)農協改革等、

それなりの成果は確かにあったものの、

日本企業の収益構造を抜本的に変えるような改革は、ついぞ見られず仕舞い。

世界中がこの「古い自民党的」な安倍政権に失望して、ため息をついたのが、

今年初めからの暴落相場であり、秋口までのズルズル相場だったわけです。

ただし、安倍政権の人々には、多少なりとも同情を禁じ得ません。

党内の長老、重鎮といった人々に支持されていない安倍総裁は、

党内基盤が極端に弱く、常に「安倍降ろし」を仕掛けられる恐れがありました。

また、「第3の矢」を飛ばして成長戦略をやるために、

経産省のエース達で固めた安倍内閣(経産内閣と言われました)を、

財務省が極端に警戒し、ことあるごとに牽制、妨害したため、

やりたいことがほとんどやれないまま、袋小路に陥ったのです。

これがまた、マーケットの失望を招き、株価の下落要因として作用し、

秋口まで、上がっては下がり、上がっては下がりの相場になってしまいました。

私のメルマガでは、こうした経緯を逐一、克明に解説してきましたので、

「実際の株価」が、政権の「政治的基盤の強弱」とほぼ完全に連動していたことを、

読者の方々はよく覚えておいでのことと存じます。

しかし、最後の最後に、安倍総理は「一発大逆転」の奇襲攻撃を仕掛け、

解散・総選挙をもって、財務省及び党内抵抗派を黙らせました。

10月末のハロウィーン緩和の余波もあり、11、12月の相場はこれで熱狂しました。

ただし、せっかく彼らを黙らせることに成功したのに、

自民党が総選挙に掲げた「公約」は何も中身がないスローガンの羅列ばかり。

いくつか「約束」したのは、「古い自民党的なもの」である「バラ撒き」です。

確かに、「無風」となりそうな今回の選挙に勝つためには、

古くからの自民党の支持層をきちんと固めるのが一番手っ取り早く、

それゆえ、「古い自民党的」な公約を掲げるしかなかったのは理解できます。

しかし、マーケットはこれにがっかりし、げんなりしてしまいました。

与党の勝利が確実になった選挙戦の最中には、もう株価の下落が始まったのは、

ある意味、安倍政権への市場の「期待」がしぼんだことをあらわしています。

しかし。

どうやら、それも含めて安倍政権の戦略だった可能性があります。

総選挙後、先週一週間で政権周辺から漏れてくる「玉」のいくつかに、

「古い自民党的」ではない匂いのするものが出てきたのです。

具体的な内容については前号メルマガに書いたとおりですが、

これらが本当に実行されるのであれば、

安倍政権は「古い自民党的なもの」を裏切り、財務省を駆逐し、長老を黙らせ、

マーケットが長期的に歓迎するような改革をやり抜く可能性があります。

私はこのブログ創設以来、

ずっと「アベノミクスはまだ終わっていない」と申し上げてきましたが、

本当に安倍総理が「変える」意志を示し、強い実行力をみせれば、

株価をまだ上昇させることは可能です。

(それで「賃金」が上がるとは限らないというのも事実ですが・・・)

12月24日に第3次安倍政権が発足した後、この年末年始には、

補正及び本予算案、また、来年の通常国会での成長戦略関連法案が、

次々と具体的な内容で政権周辺から出てきます。

今、「いったい、安倍政権はやるのか、やらないのか。」と、

海外の投資家は、何度も何度も問い合わせをかけてきています。

もし、安倍政権の出す「玉」が、「いい意味」でマーケットの期待を裏切れば、

長期スタンスの巨大資本が、腰を入れてしっかりと日本株を買ってくるでしょう。

そうなれば、「アベノミクス2.0」のスタートです。

その意味で、このクリスマスから年末年始にかけては、

例え自分でポジションをとらないにしても、政治・経済ネタは要チェックです。

私も、本来なら年末年始のメルマガは休刊の予定でしたが、

12月28日、1月4日と、「縮小版」を発行して重要ポイントを分析します。

特に、新しい材料を踏まえた上での、年明けの号(第37号:1月4日発行)は、

非常に大事な内容になると考えておりますので、

年末疲れや正月ボケをすることのないよう、気合を入れて臨みたいと思います。

(本業が恐ろしいほど過酷な忙しさで、正月ボケはまずないでしょうが・・・)

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

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