霧が晴れたら
昨日の日経平均は小幅反発とはいえ「気迷い」気味でフラフラ。
どうしても、重要イベントの前は相場が動きづらくなります。
今日のFOMCにさほどの波乱要素がないとは思われますが、
それでも、市場参加者はポジションを取りづらいものです。
FOMCでネガティブ・サプライズがなく、
いわば「霧が晴れた」ような状況になれば、
日経平均もメルマガに書いた「居心地のいい水準」まで、
するすると上昇する条件はととのいます。
6月16日には空売り比率はふたたび30%を超え、
それなりの上昇エネルギーもたまっています。
(もっとも、昨年末の空売り規制緩和以降、
「空売り比率30%」がシグナルとして機能してませんが)
市場全体に「15000円で値固め」というコンセンサスもあり、
不測の事態で相場が崩されるようなことがなければ、
ふたたび「居心地のいい水準」での攻防になるはずです。
ところが。
FOMC前の不透明感などより、
もっと大きく、濃い霧が発生しています。
今すぐに日本市場に押し寄せなくとも、
遅かれ早かれ、間違いなく大変な雨雲となり、
やがて竜巻や洪水を引き起こしかねない新たな「濃霧」です。
前号のメルマガ(8号:6月15日)で少し触れた、
イラクの反乱勢力「ISIS」の首都進軍です。(ISILともいいます)
痛ましい内戦や内乱ですが、
それがイラクやシリアの国内に限定されていれば、
世界の相場を揺さぶることはありません。
しかし、この戦いが、
いくつかのキーとなる周辺国や、米ロ中などの大国を巻き込めば、
しっちゃかめっちゃかの大騒動になります。
昨年、シリア内戦に米国が介入するかどうかで揉めただけでも、
米国株も日経平均もかなり荒れました。
今回のISISの進軍は、過激派騒動どころの話ではありません。
現時点での情報を分析する限り、
イラクは内戦から「中東大戦」に発展しつつあり、
しかも、情勢には全く解決の見通しがありません。
この夏は、イラクで発生した新たな濃霧が、
いつ、どんなふうに国境を越えて周辺国を巻き込むか、
片目で睨みながら相場を張るようになるかもしれません。
(これについては、今週末のメルマガでより詳しく分析します。
状況はほとんど「中東大戦」に向かっており、
日本のメディアが報じているより、はるかに深刻です)
9月に向けて、日本政府としては可能な限り株価を上げたいのは山々ですが、
「霧が晴れる」までは内外の投資家も積極的に買いづらいものです。
霧はまた、いくつも発生します。
そろそろ中国の不動産バブルが再び話題になっていますが、
それよりも恐ろしいのは上海一派の復活や、
習政権と軍部の対立によって引き起こされる、
中国共産党上層部のパワーバランスの変化です。
また、これだけ好景気が続くと、
さしものイエレン議長も何らかの形で利上げに言及する日が、
意外に早くやってくるかもしれません。
通常、利上げの後の米国株はちょっとした調整の後、
好景気を反映して、ふたたび上昇を続けるものですが、
今回は新興国からのQE資金巻き返しをともないかねず、
その場合は、1月、2月の危機が再燃しかねません。
7月以降の相場は、日本政府による株価釣り上げ努力と、
次々と発生する外部要因の霧(グローバル・リスク)が、
どういうタイミングで、どっちが強まるかによって決まりそうです。
こういう「予測不能」な内外の環境に囲まれながら、
秋以降とされる安倍政権の「あること」(メルマガ8号で書いたあれです)が、
相場を大きく動かす可能性があるのです。
いずれにせよ、相場が大きく動けば、私達にはチャンス到来。
どの材料についても、その都度、詳しく解説していきますので、
どうぞご期待ください。
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