「ムニューチン・ショック」と日経平均の今後。
昨日の日経平均は大幅続落。
「パニック安」というほどではありませんが、
米国の財務長官による「ドル安容認」の発言は、
「ムニューチン・ショック」ともいえるインパクトがあり、
日経平均の楽観的ムードを大いに削いでしまいました。
1ドル108円台への急劇な円高の進行は、
さすがに輸出産業や観光業へのインパクトが大きく、
少なくとも積極的に日経平均を買っていく雰囲気には、
なりづらいものがあることは否めないところです。
このまま円高傾向が固定化するようであれば、
日経平均の「先高感」は減退しますので、
米国の「次の一手」には要注意といえる局面です。
もっとも米国が「ドル安容認」をするといっても、
積極的に「円高ドル安」へと誘導する手段は、
それほど多くはなく実効性にも疑問が残るといえます。
実際、日米両国が今後、選択する金融政策によっては、
「円安ドル高」の圧力が発生するシナリオもあり、
事実、そうしたシナリオがあったからこそ、
年初からの株高局面が支えられたわけです。
ムニューチン氏が示唆した「ドル安」への転換が、
どういう政策的な裏付けがあるのかは確認できず、
市場も、日本政府も戸惑っているところです。
ただ、金や原油、長期金利の動きをみても、
世界全体が「リスク・オン」で一色なわけではなく、
多少、円高が進む予兆はあったところですので、
ムニューチン発言に市場が過度に反応してしまい、
少なくからず相場を「攪乱」したのかもしれません。
こうした材料を今一度、精査した上で、
次号メルマガ(第197号:1月27日)で展望を述べます。
ともあれ、このところメルマガでは「売り目線」を提示し、
「脳天気な上昇ムード」を戒めてきたところですが、
株価が「高値圏」にあるということは、
常に突発的な攪乱要因に乱されて、
急落に巻き込まれる恐れがあるという「鉄則」を、
あらためて学習させられた昨日の下落だったといえます。
さて。
米国のトランプ政権が世界の「攪乱要因」として、
世界各国を戦々恐々とさせている一方で、
日本の安倍政権は「外交巧者」の面目を施し、
世界を「修復」し「作り替え」る働きが顕著です。
日本が単独主導でTPPを成立させつつあるところ、
米国の「TPP残留を検討」とのサプライズが飛び込み、
日本政府も喝采を叫んでいると聞いています。
すべてインド太平洋という広大な地域をめぐる、
「グレート・ゲーム」の一環としての戦略的な動きです。
無論、「ゲーム」である以上、困難はつきもので、
しかもライバルは相当に強力ですので、
今後も危ない局面がいくつもやってきそうですが、
しかし少なくとも昨年末あたりから日本外交が、
「優勢」とみられる状況が増えてきています。
この先に日本経済にとってのフロンティアが広がり、
明るい未来が待っている可能性が高いですので、
次号メルマガであらためて詳しく分析します。
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