「改革の果実」について。
日経平均は3か月ぶりに17000円を突破。
ただし、引けにかけて大いに値を消し、
結局、陰線をつけています。
イエレン議長も、黒田総裁も、
それぞれ金融政策の方向性を示唆し、
それを素直に解釈すれば円安ドル高になるはず。
しかし、1ドル103-104円で膠着し、
ともすれば円高に振れそうになるのですから、
日経平均の上昇力もイマイチです。
おそらく政府・日銀としては、
このまま上昇するよう祈っているでしょうし、
下では「日銀砲」は待っていますから、
日経平均を人為的に売り崩すには、
よほどのきっかけとパワーが必要です。
しかし、ここにきて為替が膠着し、
再び円高に向かいかねないというのは、
市場参加者の心の奥に、
なんともいえない「不安」が残り、
リスクを取る雰囲気が広がらないことを示し、
相場の先行きに少し影を落としています。
やはり潜在する「危機のマグニチュード」は、
密かに増大し、これが重しとなっています。
せめて前号メルマガ(第124号:9月4日)で書いた、
一定の位置以上まで為替が戻らないことには、
「過熱相場」はなかなか続き辛いと思われます。
日銀、そしてFRBからもっとはっきりと、
金融政策の方向性が示されれば違うのでしょうが、
とにかく、もっとはっきりした材料が欲しいところです。
外交で次々と成果を挙げつつある安倍政権ですが、
やはり経済政策では今、のるかそるかの岐路にあり、
一歩間違えれば奈落の底に落ちかねない、
大変な綱渡りを演じているところです。
ところで。
「危機のマグニチュード」は増大しており、
いつ大爆発するかわからない怖さもありますが、
日本経済は悪い話ばかりでもありません。
第2次安倍政権発足後の4年近くで、
政権が成し遂げてきた「改革の果実」もあり、
日本市場の基礎体温は徐々に上がってきています。
それゆえ、何度か暴落が発生しましたが、
かつての麻生政権や民主党政権の頃よりは、
はるかに高い株価位置をキープしています。
いわゆる「第3の矢」にあたる諸改革ですが、
実はこちらがアベノミクスの本丸です。
特に、株価上昇策としての初期の「第3の矢」は、
過去のメルマガで指摘したように成功をおさめ、
チャイナショックや英国ショックがあったとしても、
日経平均を1万4千円台で押し返してきました。
今、ステージ2に移ったアベノミクスでは、
日本経済のパイの拡大に直結するような、
新しい改革プランが出ていますが、
それらの「改革の果実」が実を結べば、
さらに基礎体温が上昇する可能性もあります。
政権の言うことを過信するのも危険ですが、
あまり政権のやることを冷ややかに見て、
経済の実態を無視するのも愚かなことです。
無論、「リーマンショック超級」とされる、
海外発の「危機」が押し寄せてくれば、
日経平均は一時的に大きく下げます。
近いうち、そういうことがあるかもしれません。
また、そう遠くない将来において、
日本国内の金融・財政危機が大爆発すれば、
アベノミクスはいったんリセットされ、
日経平均の上昇分もチャラになりかねません。
しかし、混乱が去り、平常の経済運営に戻れば、
日本企業がその「稼ぐ力」を発揮し、
日本経済が基礎体力を取り戻す過程で、
日経平均も力強く回復すると思われます。
即効性のある金融、財政政策とは違い、
構造改革による「改革の果実」があらわれるには、
やはり数年程度のタイムラグがありますので、
なかなか確固とした形で認識するのは難しいですが、
政権側は苦しみつつもそれなりの努力をし、
改革を前に進めつつあることは覚えておきたいです。
間もなく開かれる秋の臨時国会でも、
いくつか改革の「矢」が放たれそうですので、
次号メルマガ(第125号:9月11日)では、
それらのうち気になるものを書きます。
それらを見ればよくわかりますが、
日本社会はやはり深いところで、
劇的にガラリと変わりつつあります。
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