「未知の領域」にある日本。
昨日の日経平均終値は16476.84円。
公共事業や公共投資を中心に28兆円も積み上げ、
選挙後なのに2200万人に1万5千円をばら撒くという、
ちょっと口があんぐり開いてしまう「経済対策」を、
安倍総理が打ちあげたというのに、
前日比で187.98円安と振るわなかったのは、
ちょっと気になるところではありますが、
ナイトではまた16600円まで盛り返しています。
振幅は大きくなってきたものの、
依然として「16600円台近辺の攻防」のまま、
日銀の決定会合を迎えることとなりました。
安倍総理率いる日本政府は果敢に動きました。
では、黒田総裁率いる日本銀行はどう出るのか。
全世界がその動向を見守っています。
すでに、日本の経済政策は「未知の領域」にあります。
そもそも、ゼロ金利政策がこれだけ長く続くのは、
世界史的にも極めて稀な「経済実験」です。
また、これだけの少子高齢化は世界史上、初めてで、
アジア諸国の生産拠点拡散やキャッチアップなど、
世界史上でも例をみない経済環境のなか、
世界史上、稀に見るデフレと戦っています。
そのため、世界史上、初めて「量的緩和」を開発し、
あわせて世界史的な規模での財政出動を行い続け、
古今東西、珍しい規模で国の借金を積み上げています。
全てが「未知の領域」にあると言って過言ではありません。
これが21世紀の日本です。
日本はすでに「未知の領域」に突入して久しいのですが、
「失われた20年」とは、ただ衰退が続いたわけでなく、
あらん限り、できる限り、もがき続けてもなお、
事態の好転がみえなかった苦難の時代です。
こうした苦闘を経験した経済大国というのは、
世界史上にもそう例はありませんから、
日本の経済政策史を研究する海外研究者は多いのです。
そして、政府・日銀の努力のなかでも、
極め付けの「決定打」として打ち出されたのが、
2012年末から始まったアベノミクスです。
これもまた「未知の領域」の経済政策。
しかし、現時点で、アベノミクスは、
資産インフレ政策としての効果はあったものの、
物価目標、GDP規模、実質賃金など、
肝心要となる指標でまだ、ほぼ「不合格」です。
「期待」を煽って国政選挙に何回勝とうと、
「政治は結果責任」という大原則に照らすならば、
コミットメントが果たされていないという事実は、
安倍総理、黒田総裁に強い「焦り」をもたらしています。
無論、アベノミクスで打ち出された「玉」の数々は、
今後、時間をかけて効果を発揮するのかもしれませんが、
いかんせん、時間が迫っています。
黒田総裁のタイムリミットはとうに過ぎていますし、
安倍総理が「本懐」を遂げるための時間はあと2年。
「黒田バズーカ3」のような大技に打って出るのも、
「未知の領域」をさらに進めることですし、
「ヘリマネ」のような「政策実験」を手掛けるのならば、
それはもはや「未知の領域」というレベルすら超え、
従来の経済学、経済政策の全てへの挑戦を意味します。
今日から起こり得るシナリオと戦略については、
前号メルマガ(第118号:7月24日)で分析しましたし、
その上で、今日、日銀がどんな決定をするかを見極め、
次号メルマガ(第119号:7月31日)で今後の方向性を、
しっかり分析するつもりではありますが、
いずれにせよ、日本の政府・日銀は今、
ほぼ完全に「未知の領域」のなかにいることは、
全ての投資家が念頭に入れておくべきかと思います。
さて。
黒田日銀はどう動くのでしょうか。
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