(午前0時20分の更新です)

昨日の日経平均は「想定外」の急上昇。

前夜のブログで「突っ込みの可能性は低まった」と書きましたが、

ようやく円高が一段落したこともあり、

難関だった16000円のカベを寄り付きで超えての急上昇です。

現時点(ナイトセッション)では「次のカベ」とみられた、

16500円の攻防へと移行しています。

円高局面でいくら「玉」を投入しても限界はありますが、

為替が「適温圏内」に戻れば、日経平均は上昇しますので、

1ドル109円まで戻ったところ霧が晴れたのはわかるのですが、

ただ、この急上昇はやはりちょっと不自然な印象があります。

特に、寄り付き直後の急上昇は、公的資金のPKOでしょう。

売り方に踏み上げをくらわせ、パニック的な買い戻しを誘発し、

難関と思われた16000円ラインの突破を狙った、

公的資金による買い仕掛けであろうと思われます。

従来の経験では、こうした株価操作的な手法による上昇は、

そう長続きするものではありませんので、

今週いっぱい16500円ラインが維持できるかを注視します。

もっとも、「4月相場」も折り返しになろうという頃ですから、

ようやく「大玉」がひとつ出て来そうです。

昨年から断続的にメルマガで触れてきた「北方領土」です。

昨日深夜に第1報が出ましたが、

ロシアのラブロフ外相が北方領土交渉に言及し、

「4島全部が交渉対象になる」と思い切って踏み込みました。

これ自体は、直接的な経済政策の「玉」ではありませんが、

もし、望ましい形で交渉が前進すれば、

安倍政権はこのところのスキャンダル禍から巻き返し、

相当程度、内閣支持率を回復させることが可能でしょう。

また、日ロ関係の改善は「ロシアの制裁終了」に直結し、

苦境にあるロシア経済・財政にとっての好材料ですし、

日本にとっても資源・エネルギーの安定供給はプラスですから、

(本当にロシアが「安定供給」すれば、の話ですが)

長期的な経済見通しにはプラスになるはずです。

それゆえ、今年の参院選を前にこの「大玉」を出すべく、

昨年秋からしきりに官邸が仕込みに動いていることを、

私も、何度かメルマガで触れてきたわけですが、

15日からの日ロ外相会談、そして来月の首脳会談で、

凍結されていた交渉が一気に前進する兆しが見えてきました。

これもまた、安倍総理の「運」ですが、

今回に関しては周到な外交準備もあったことは見逃せません。

伊勢・志摩サミットへのプーチン招待こそできませんでしたが、

先週、来日したウクライナ大統領との間でも、

対ロ関係で何らかの「裏取引」があったものと思われます。

そうした地道な努力がようやく開花しようとしており、

これで、5月は「経済対策」「日ロ会談」「サミット」と、

強力な「大玉」の日程が続くことになり、

「安倍カレンダー」は「期待」の風を強めています。

私が、しつこいくらい5月にかけての再上昇に触れてきたのも、

こうした政権側の「仕込み」があるからです。

ただし。

北方領土を取り戻すくらいの「大玉」を出さないと、

安倍政権は窮地に陥る危険が高まっていることも見逃せません。

私のメルマガでは、ずっと以前から、

特に第97号(2月28日)で非常に詳しく申し上げた通り、

いくら自民党の支持率が高く、民進党の執行部がダメでも、

選挙をやれば「野党連合」が意外に強力であろうことは、

永田町に生息するプロ達は誰でも知っていることです。

実際、事実上の「自公VS野党連合」の一騎打ちとなった、

北海道5区の衆院補選が、そのよいケーススタディです。

圧勝ムードだった自民党のエリート候補が、

完全無名だった女性候補に追い詰められています。

今週発売の週刊Gは、もし、この夏、衆参ダブル選をやれば、

自民党議員は激減し、民進党が大躍進する予想を掲載してますが、

そんなことは、民進党誕生のはるか前、去年、一昨年の頃から、

永田町のプロ達はみんなで持っていた「共通認識」です。

だからこそ、菅長官率いる官邸は、

この3年間、「野党分断」に全力を挙げてきたわけですが、

3月27日の民進党誕生と、民共協力の成立をもって、

さしもの「軍師の策」も破れてしまったわけです。

官房長官が珍しく感情的に民共勢力を批判しているのは、

すなわち、政権側の焦りをよくあらわすものです。

このあたりは、ここ最近のメルマガで何度も書いた通りです。

こんな状況で、衆参ダブルに突入するのは危険ですが、

さりとて、消費再増税ができそうな経済状況でもなく、

しかも、解散もせずに増税凍結をやるのは困難です。

「改憲」を念頭に置いた「安倍カレンダー」を踏まえても、

やはり、今年は衆参両院の選挙で圧勝したいところですが、

そのためには、よほどのことをやる必要があります。

いよいよ窮地に立たされつつある安倍政権が、

一発大逆転の「大玉」を繰り出して奇跡を起こすか、

それとも、博打に負けてすごすごと退陣するか。

次号メルマガ(第104号:4月17日発行)で、

それぞれのシナリオと見立てを書かせていただきます。

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