約束どおりECBが動き、マイナス金利の幅を拡大。

それまで「期待」が維持されていた欧米市場は、

マイナス0.4%という金利にイマイチな反応を示しています。

米国はほとんど動いていませんが、欧州市場は総じて安い。

「期待」で買われたものが、「事実」で売られたというべきか。

いずれにせよ、マイナス金利は株価への「即効性」がないことは、

ここしばらくの、欧州と日本の事例が示したと言ってよさそうです。

(長期的な景気への影響は、まだ検証が終わっていません)

前号メルマガ(第98号:3月6日発行)では、

「少なくとも、3月10日までは「期待」が維持」と書きましたが、

実際、その通りになったと言っていいようです。

日経先物も、欧州下落もあってナイトで大きく下げましたが、

これはオプションに絡む仕掛けの影響もあります。

オプション要因での下げ圧力は、SQ通過に消えますので、

通常なら、朝イチで買いを入れてもおもしろい局面ですが、

今朝は欧州の「期待」剥落にともなう売りも警戒されます。

やはり、もし、火曜のSQ絡みの仕掛けが上に来ていれば、

3月11日はとてもおもしろい下げ局面に乗れたのにと、

返す返すも残念な気がしますが、これも相場です。

いずれにせよ、中途半端な株価位置ですし、

「時鳥トレード」のセオリー通りで考えるならば、

リスクをとってエントリーする根拠があまり見当たりません。

まあ、エントリー頻度とパフォーマンスは比例しませんので、

「休むも相場」となっても、残念がることはありません。

「これは」というチャンスは、いずれまた必ず来るからです。

また、時代の転換点に差し掛かりつつある今は、

「時鳥トレード」での勝ちを拾うことも大事ですが、

もっと重要な大きな投資戦略、人生戦略を考えることに、

時間と労力を使うことも、より大切なことだと考えます。

10年後、自分と家族がどんな経済的階層に属し、

どのような生活をしているかを決めるのは、

今やっている、あるいは、今から始める努力にかかっています。

さて。

SQ通過で欧州のバズーカはイマイチ。

では、来週以降の相場はどうなるのでしょうか?

G20での国際合意を受けて、

中国は金融、財政の双方で「玉」を繰り出し、

欧州は追加の金融緩和という「玉」を出した後は、

いよいよ日本と米国の当局が動きます。

米国が引き締めの手をどれだけ緩めるかも気がかりですし、

日経平均にとっては日銀の動きは最重要ファクターです。

日銀は国会答弁などでは「手段は無限にある」と言うものの、

それをちょこちょこと繰り出すのは「戦力の逐次投入」であり、

まさに就任当時の黒田総裁が最も戒めたはずのやり方です。

バズーカ(量的緩和)はあと一回が限度とみられる一方、

マイナス金利の拡大は「逐次投入」の印象を与えかねず、

また、景気、経済、株価への「即効性」に欠けます。

「神通力が失せた」と揶揄されるようになり、

傍目にも、焦燥の色が濃くなった黒田総裁ですが、

いったいどういう手を繰り出してくるのか。

アベノミクスは徹頭徹尾、政策相場ですが、

その特徴のひとつは「期待」の風を維持することにあります。

どんな政策も、景気、経済の押し上げには時間がかかります。

それが効いたかどうかの検証をする余裕もなく、

次次と「玉」を繰り出して「期待」の風を維持しないと、

世界経済に立ちはだかる重々しい雲に押されてしまい、

政権の「命綱」ともいえる株価が下落しかねません。

かなり、自転車操業的な苦しさが漂ってきましたが、

手品でも曲芸でも次々とやって「飽きさせない」努力が必要で、

それができなくなったらアベノミクス相場は完全に終わります。

今後も、

来週の日銀決定会合、

解散決定の時期とその「大義」、

5月に出ると思われる経済対策、

など、重要な政策決定の日程が続きますが、

これらをきちんと読むことで、

「期待」の風が発生する時期が予測できると思われ、

今後の戦略を組む有力な材料になろうかと思います。

政界は明らかに潮目が変わったように感じています。

次号メルマガ(第99号:3月13日発行)では、

政権側が「玉」を繰り出してきそうな時期と内容をもとに、

今後、どんな戦略があり得るか考えていきたいと思います。

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