非常にしばしば「ヘンなこと」が起きるものです。
昨夜の日経平均は大きく反発。
後場にはいったん上げ幅を縮める場面もありましたが、
引けにかけて再度、上昇して20600円台にのせました。
今回はちょっと好奇心にかられて、
あちこちの経済記事を読みましたが、
米国や中国の状況が落ち着いているという外部要因に加え、
「4-6月期GDPマイナス」の報を受けての、
「追加緩和『期待』が台頭」といった解説が多かったようです。
確かに「2年間で2%のインフレ」という黒田総裁のコミットメントは、
まだ「未達」のままですが、総裁就任時の国会同意質疑で黒田氏が、
「結果責任」に言及されていたことを考えると、
本来であれば、今、引責辞任されてもおかしくない状況ではあります。
ちょうど去年の今頃、「追加緩和だろうと何だろうとやる」といって、
サプライズのハロウィーン緩和をやってもまだインフレ目標には届かず、
「景気回復」の掛け声も虚しく、GDPは下がり続けているわけです。
9月4~5日のG20(トルコ・アンカラ)参加国の関心は、
米国利上げや中国懸念に集中することと思われますが、
ここに「アベノミクスの点検」と「今後の見通し」を携える必要もあり、
近く、安倍・黒田間で政策の摺り合わせが行われると言われています。
安倍政権はその延命と来年参院選勝利のために、
黒田総裁は自らのコミットメント成就のために、
この秋にはかなり思い切った手を打つ必要はありますので、
それが昨日の「追加緩和『期待』」へとつながったのでしょう。
ただ。
私はやっぱり、「期待」による上昇にはのりません。
「期待」どおりに追加緩和が発射されたり、
「期待」を受けて大きな「玉」が出されたりした後、
それらの内容を踏まえて「適正な位置」まで上昇するのは、
株式市場の健全な姿ではありますが、
「バズーカ(追加緩和)」や「玉(政策)」が出るかどうかは、
ひとえに政策当局の「一存」で決まります。
もしかしたら出ないかも知れず、また、いつ出るかわからないものに、
自分の貴重な資産を賭けることはできないというのが、
私の基本的なスタンスです。
無論、まことに奇妙なことながら、私がメルマガで6月頃から指摘してきた、
「日本株独歩高」のシナリオが生きており、日経平均はまだ下がりません。
たしかに、今、世界中にあふれかえるじゃぶじゃぶマネーは行き場を失い、
「投資(逃避)先は日本しかない」
「日本株なら下げても政府が救ってくれる」
といった「思惑」で日本市場に流入しているという側面がありますが、
私がこれまで見聞し、また、研究してきた「常識」のとおりなら、
昨日のように国家のGDPが大きく減り、東証売買高が2兆円を割り込めば、
株価は下げるというのが、ごく当たり前の動きではないでしょうか。
にもかかわらず、現実として株価は上昇しました。
無論、株式市場というのは「常識」どおりに行かないことが多く、
時折、というか、非常にしばしば「ヘンなこと」が起きるものですが、
昨日の上昇のようなものは「ヘンなこと」に属するように私は思います。
甘利大臣がGDP減でも「景気回復」というのも「ヘンなこと」ですし、
人口もGDPも減り続ける国に投資が集中するのも「ヘンなこと」です。
そもそも、刷ったお金を配って「景気回復」というのも「ヘンなこと」で、
公的資金で株を買いまくって値を吊り上げるのも「ヘンなこと」です。
でも、その「ヘンなこと」がまかり通って、
世界経済が低迷するなかでも、日本株だけが最高値を狙っています。
これが、もう終盤に差し掛かったアベノミクスの姿です。
安倍政権が存続するとして、この「ヘンなこと」がまだ続くのか、
あるいは後継政権が「ヘンなこと」からどう正常に戻すのか、
永田町や霞ヶ関ではそろそろ真剣に考え始めています。
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