「ヘンな相場だ」と、証券会社の友人がぼやいていました。

「毎日、株価上昇のニュースが流れるのに、お客さんがほとんど儲からない」とのこと。

アベノミクス初期のように、ほとんど何を買っても儲かっていた頃と違い、

今は指数は伸びているとはいえ、その中心は先物、ETF、値嵩株です。

一般の投資家がコツコツ買うような銘柄は高値に張り付いてしまっており、

買っても買っても思うように利幅がとれませんから、

結局のところ手数料負けして、フラストレーションがたまるばかり。

証券会社のほうも、当局から「売るな」と指導を受けているようで、

個人投資家がNISAや投信に投じた資金は、結局、長期塩漬けだそうです。

「何が何でも株価を落とさない」という政府の強い意志を感じる話ですが、

個人投資家も証券会社も儲からないのでは、だんだん息が詰まってきます。

もっとも、私がメルマガで指摘した「年金選好銘柄」など、

一部の銘柄は特段の理由もないのに異常な上昇を示していますが、

こうした銘柄を見つけ出して投資するには、おびただしいモニターに囲まれ、

朝から晩まで膨大な情報をチェックし続ける必要がありますから、

到底、仕事を持っている個人投資家がこれをやるのはできない相談です。

歴戦の投資家たちには、こうした状況を冷静にみて、

「もう、相場全体がヘンになった」と判断し、手仕舞う人も出てきています。

とりわけ、政府主導のPKOがめちゃめちゃに相場を荒らしてしまっているため、

合理性と予測可能性が失われつつあることを、残念に思っていると聞きます。

「非合理的」な相場はバブルに至るか大暴落するかのどちらかですが、

どちらのシナリオもおびただしい悲劇を生み出すますので、

「君子、危うきに近寄らず」で相場に見切りをつけるのも、ひとつの見識でしょう。

ただ、直近のこの無茶苦茶な上昇劇も、いったん適切な調整が入れば、

健全で合理的な株価形成が復活する可能性はまだ残っています。

前号メルマガ(第49号:3月29日発行)でも指摘しましたが、

アベノミクスにはまだ最後の「切り札」が残っていますから、

健全さを取り戻せば、長期に安定して高値が維持される可能性はあります。

その意味で、どの時点でまともな調整が入るかが、ここしばらくの焦点です。

「調整はあって当然」という事情もあって、

現在、私は「売り目線」で相場展開をみつめています。

ただし、この「ヘンな相場」はまだ、利益を出すような地合ではありません。

先週末、実質的に新年度の相場がスタートしましたが、

いきなり波乱含みで推移し、翻弄された人も多かったと思います。

私も、メルマガに書いたように「ストンと落ちる」兆候はとらえましたが、

PKOやヘッジファンドによる予測不能な急反発で含み益が吹き飛び、

2度にわたって「引き分け」撤退に追い込まれました。

こういう時こそ、要注意です。

何が怖いといって、自分が冷静さを失うのが最も怖いのです。

焦る、慌てる、熱くなるで、頭に血が上ってしまうと、

ついつい余計なポジションをとり、思わぬ大損害を食らいます。

まずは、冷静になること。

相場は高値に張り付いており、思うように利益を出している人はいません。

株価は合理的に形成されておらず、従来の戦略はほとんど通用しません。

冷静になれば、利益が出なくて当然なのだわかり、気持ちが楽になります。

乱高下する相場に飛び込むのであれば、損はもとより覚悟の上。

おかしいと思ったら素早く損切りして、気持ちの上で後を引かない。

そう割り切らなければ、やがて自分が熱くなってしまい、

自分で自分を破滅に追い込んでしまいます。

そういう危険を帯びた相場状況なのです。

前号メルマガにいくつか書きましたが、一歩引いて冷静に眺めれば、

相場の「転機」となりそうな日程は、いくつもあることがわかります。

だいたい、外部環境の変化、政策の切れ目、ターゲットの達成などで、

相場の流れは一変するというのが、古今東西変わらない法則ですから、

何が何だかわからないところで、無理に売買する必要はなく、

転機がくるのをしっかり待てばいいのです。

相場において大事なことは、以下の1から5までしかありません。

1に「損をしない」、2に「損をしない」、3、4がなくて、5に「損をしない」。

だからこそ、「儲け損ない」を気にせずに、小幅利益なら勝ちと同じと割り切ること。

生き残っている限り、やがて「わかりやすい」チャンスがやってきて、

簡単に利益がとれる局面が来るものです。

そして、そんなチャンスを年に数回でもとることができれば、

素人であっても、プロを凌駕するパフォーマンスをあげられます。

待てば海路の日和あり。

「ヘンな相場」ではありますが、いつまでもヘンな状況は続きません。

私は「4月相場」はおもしろいことになると思っておりますので、

気楽に、冷静に、相場展開を見つめるつもりです。

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