昨日の日経平均は、利益確定の売りが出て3日ぶりの反落。

ただ、一時、100円程度落ちたもののすぐに切り返し、前日終値付近で引けました。

20000円到達を前にして、大きな売りを仕掛けるにもリスクがあります。

市場の関心は権利落ち後の相場展開に移っています。

はたして節目に到達するのか、到達した後、反落するのかどうか、息を飲む展開です。

昨日も少し書きましたが、私はやや違ったファクターにも注目しています。

明日からは統一地方選がスタートしますが、選挙期間中は報道のトーンが変わります。

投票行動に影響しないよう、「客観性」「公平性」が要求されますから、

一方的な政権批判も、一方的な政権礼賛もできなくなります。

安倍政権が「禁じ手」の「株価操縦」に手を染めているのは、

多分に、選挙戦を有利に進めるための「世論対策」です。

皆さんが「官邸の相場師」の立場にあるとして、

礼賛も批判もされないのに、どこまで無理して株価を吊り上げますか?

もっとも、統一地方選には「前半」(12日)と「後半」(26日)があり、

「前半」に自民党な苦手とする知事選などが終わった後、

総選挙の際に手足となって働く市長選議会選のある「後半」まで少し間がありますから、

そのあたりまで、官邸側の緊張感は持つようには思いますが。

政府がどこまでこの「禁じ手」を続けるかが、この上昇相場のメインシナリオです。

利上げを前にして、米国市場はアタマ打ちとなり、新興国を中心に不安が台頭。

欧州ではまたギリシャがチキン・レースを再開するそぶりをみせています。

日本経済の成長見通しが大きく変わるファクターが出たならばともかく、

たいして材料もないのに、日本株だけが上昇するのはどう考えても不自然です。

今や、市場参加者の誰もが、「年金が買うから」「日銀プレーが出るから」と、

「政府が買うから上がる」という前提を信じていますが、

しかしそては「政府が買わなくなれば下がる」ということと同義です。

こんな株価操作をいつまでも続けていれば、

誰がどう考えても日本経済はいつか破滅してしまいます。

一部メディアが「まだまだ上がる」と囃し立てる一方で、

「今の株価は合理的に説明できない水準にある」と警鐘を鳴らしはじめ、

国会審議でも「バブルが始まりつつある」ことの是非が議論されるようになりました。

前号メルマガ(第48号:3月22日発行)にも書きましたが、

まだ政府当局に賢明さと合理性が残っているのであれば、

ほどほどのところでこの「火遊び」をやめ、調整をさせるべきです。

でなければ、バブルに火がついてしまい、やがて大きな悲劇を招いてしまいます。

当面の官邸の至上命題は、「支持率、株価、為替」を維持し、

あらゆる手段を使って世論を誘導して、選挙に勝つことにあります。

そしてその先に、安倍政権の長期化・盤石化があり、

やがて時期がきたら「本懐を遂げる」ことを狙っているわけです。

それは、官邸による壮大な駆け引きです。

「日経平均2万円」という、特A級の政治的インパクトのあるイベントを契機として、

さて、「官邸の相場師」はどう動くのでしょうか。

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