日銀の「出口」。官邸の「賭け」。
日経平均は一昨日とほぼ同じレベルでの、
膠着状態が続いています。
米国FOMCを通過し、順当な利上げで、
少しだけ円安方向に振れました。
これは日経平均にとっては追い風。
ただ、「バランスシートの縮小」については、
予想以上に詳細に方向性が出されましたが、
市場はその影響を図りかねているようです。
また、米国株が「引き締め」のアナウンスでも、
史上最高水準からちっとも下がらないのは、
少し注意を要する現象であるといえます。
高止まりする米国市場の一方、日本市場については、
日銀の決定会合でどんな「出口」が語られるかで、
波乱やショックがあり得なくもないだけに、
息を潜める局面といえます。
一方。
永田町の「動揺」は相当なものです。
「組織犯罪処罰法」(テロ等準備罪、共謀罪)を、
「禁じ手」を使って成立させてしまったことで、
政界には極めて大きな衝撃が広がっています。
「特定秘密保護法」や「安保法制」が成立した時、
与党の空気は「安堵」といってよいものでしたが、
今回、広がっているのは「動揺」と「反発」なのです。
10日まではいかなくても、わずか2~3日延長すれば、
野党のフィリバスターは容易にかわすことができました。
しかし、官邸主導であれほど強硬な手段をとったことで、
「なんでここまでやるんだ」との「動揺」と「反発」が、
特に与党の中堅、重鎮たちの中に広がりました。
がっくりとうなだれる野党議員のそばで、
「これでいいのか」と焦る与党議員の顔が、
印象に残った昨日の国会劇場だったといえます。
究極なまでに「後味の悪い」結末であり、
あそこまでやらなくても法律は通っていただけに、
官邸の命令は「悪手」だったかもしれません。
政権はこれで「逃げ切り」のはずですが、
あまりにも「後味の悪い」国会の閉じ方では、
「加計隠し」との批判が増幅しそうなため、
急遽、ダメージ・コントロールを迫られました。
今日が国会の実質的な「最終日」になりますが、
加計学園問題についての文科省調査を、
昨日、前倒しで発表することを余儀なくされた上に、
内閣府での追加調査の実施も約束することになり、
官邸の描いていた「隠蔽策」は白紙に戻りました。
そのうえで、あれほど嫌がっていた予算委員会を、
今日の午後に「3時間コース」の集中審議で開いて、
昨日の超強行採決の悪印象を和らげることも、
ついに、受け入れざるを得なくなりました。
昨日、文科省が発表した調査結果の内容だけでは、
政権は「逃げ切り」が可能と判断したためですし、
また、野党との間に何かの「握り」があるとも噂されます。
政権が即座に崩壊することはないとはみられていますが、
しかし、この局面で総理をテレビ入り審議に晒すのは、
官邸としてはかなり大きな「賭け」であるといえます。
「加計(かけ)」で「賭け」などシャレにもなりませんが、
今日、なんとか政権側が「逃げ切り」に成功し、
予算委員会という「賭け」に勝つことができるとしても、
与党内に広がったこの不気味な「動揺」と「反発」、
そして、霞ヶ関に広がる不穏な空気を払拭するには、
ちょっと時間がかかるように思います。
官邸は「時間が問題を解決する」と考えていますが、
万一、ダメージ・コントロールに失敗すれば、
「まさか」の可能性がなくもない局面ですので、
ここ数日、私が聞いた限りの話を、
次号メルマガ(第165号:6月18日)で書きます。
「夏になったら株が上がるだろう」という楽観論は、
政権基盤が確固としているからこその話ですので、
やはりまだ予断や憶測は禁物といえるでしょう。
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