日経平均はもう、「下げ過ぎ」のレベルまで来ており、

いったんは戻りを試してもいい頃ではありますが、

問題なのはまだ、悪材料が出尽くしていないことです。

前号メルマガ(第95号:2月14日)で「危機」を列挙しましたが、

日、米、欧、中の「世界4極」それぞれの「危機」に加えて、

中東、ロシア、北朝鮮で火がくすぶり始めています。

その多くは昨年秋から私のメルマガで指摘してきたものですが、

米国と日本は指導者の問題で、「想定外」の「危機」が浮上しています。

昨年秋からメルマガに書いてきたように、

これらの「危機」のいくつかは「リーマン・ショック級」です。

もちろん、世界各国とも最悪の事態は回避したいですので、

各国が協調して「危機」に対処する努力をするはずです。

今月末のG20に向けて、各国とも調整と準備に大わらわです。

ところが、リーマン・ショックの時とは明らかに違う点があります。

まず、今回の「危機」のいくつかの正体は、

リーマン・ショックの傷を癒すために各国が行ってきた、

7年間にわたる大緩和政策の逆流現象ということです。

したがって、当時と同じ手段をとるわけにもいきません。

むしろ、今さらまたQEをやったならば、次はそれが原因となって、

悲劇的な事態を引き起こす恐れすらあります。

また、リーマン・ショックの時と違うのは、

各国それぞれに「危機」の火種をかかえており、

各国が一致協力しようにも、何について一致すればいいのか、

そもそも議論の前提が思いつかないという点です。

「通貨戦争」になりつつある通貨政策については、

むしろ、一致するどころか、利害が相反しています。

どうするのでしょうか。

そして、これでもまだ安倍政権は消費再増税を断行するのでしょうか。

ただでさえ、2017年4月といえば景気の「底」付近とみられています。

リーマン・ショック級の悲劇が起きてしまえば、

世界恐慌の真っ最中かもしれません。

そんな時に日本国内の事情で景気にブレーキをかけたら、

世界中に恐ろしい迷惑をかけることになりかねません。

安倍政権も、各国指導者も、難しい局面に立たされました。

もっとも、こういうことが起きるのはわかっていた話です。

私ですら、昨年末までに「冬ごもり」を完了したことを、

リアルタイムで読者の皆様にお伝えしてきました。

突発的事態が連続し、想定よりやや早く到来したものの、

高値圏から真っ逆さまに落ちる日が来る予兆はたくさんあり、

知る限り、賢明なる投資家諸氏は昨年のうちに避難を完了しています。

メルマガでは、ある「すごい方」が、昨年初夏から売却を完了し、

8月の最高値局面できれいに売り抜けたことを紹介しています。

そもそもが景気サイクルが回る時期に差し掛かっていたところに、

米国は明確に金融政策を引き締めに転じていました。

そこに、幾多の「危機シナリオ」がくすぶっていたのです。

いずれ大きく下落することは、いわば当然の話だったと言えます。

無論、それでもまだ、日本政府には参院選という目標があり、

また、「チャートの形状」や「上値余地の理論値」をもとに、

もう少しの間、高値が維持されるという可能性は、

昨年末の時点では確かにあったのは否定しませんが、

それと同時に「危機」のマグニチュードも増大し続けていました。

「The Economist」をはじめ、欧米の指導者層が必ず読むメディアが、

昨年秋からあれほどさんざんに「危機シナリオ」を警告していたのに、

チャートだけを見て「日経平均はまだ上がる」と買いを煽り、

クライアントに大損をさせた「プロ」の言動が私には理解できません。

(所属組織のポジション・トークや「はめ込み」の場合は別ですが)

ウォーレン・バフェットの言う投資のルールはたった2つだそうです。

すなわち、

・ルール1:絶対に損をしない

・ルール2:絶対にルール1を守る

この2つです。

私自身もこの「ルール」に強く同意していますから、

古くからの読者の方々は重々ご承知のように、

大損する可能性がある時に、飛び込んでいくことは絶対にしません。

今となっては、「冬ごもり」して正解だったとつくづく思います。

さて。

相場はまだまだ不安定です。

そろそろ反発していい位置ですが、材料はまだ出尽くしていません。

こういう時に、賢明なる投資家は何をすべきか。

具体的には前号メルマガの内容をご参照いただきたいのですが、

少なくとも、先行きがわからないにもかかわらず、

適当に丁半博打のサイコロをふることではないはずです。

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