危機の連鎖。為替に注意。
「危機」が連鎖しています。
中国政府は市場のコントロールを再び失い、
サウジとイランの対立は軍事的なものに移る兆候が出ています。
北朝鮮への制裁が即座に軍事的危機に発展するとは思えませんが、
半島でも南シナ海でも緊張が高まっており、
東アジアでも積極的にリスクをとる雰囲気にはなっていません。
焦った日米欧中の当局はいろいろと危機収拾策を打っていますが、
何かをやるたびに次の「危機」が発生し、即座に叩き落とされています。
懸念されていた「新興国危機」のシナリオに、
「クレージーな独裁者」のリスクが重なり、
市場全体が「予測不能」の混乱の中にいます。
前号メルマガでお示しした「ど真ん中」の水準をみてもわかる通り、
日経平均にはまだ下値余地がたっぷり残っています。
日本政府はまだ「大玉」を温存していますが、
しかし、「玉」の数も「玉」が効く時間も限られていますので、
どのタイミングで何を出すか政府にとっては思案のしどころです。
とはいえ、「玉」を出すのは「株高=支持率高」の法則があるからです。
株価が大幅に下がっても、政権支持率が維持されるシナリオが出現すれば、
無理してまで株価吊り上げ策をやる必要もなくなります。
昨年末から、私がこうした「シナリオの転換」の発生を気にしていたことは、
メルマガ読者の皆様は覚えておられるでしょう。
今や、昨年までと全く違い、中東、東アジア諸国の軍事行動は、
そのまま日本が「軍」を出すか出さないかの政治課題に直結します。
おそらくは、中東や東アジアで軍事的危機が顕在化すれば、
これが日本の政界でも「政治的問題」として浮上し、
「経済、経済、経済」と言っていた空気が吹き飛ぶ恐れがあります。
私の懸念が杞憂であることを祈っていますが、
投資家というのは楽観的であるより悲観的なほうが、
より長く、大きく財産を増やすことができるというのが私の信条です。
情勢の変化には最大限の注意を払っています。
もうひとつ気がかりがあります。
金、ドル、円などの「危機時の避難先商品」がじわりと上昇中です。
(将来のために、もう少し、金の「買い場」は続いて欲しいのですが…)
今夜は米国雇用統計もあり為替の変動も予想されますが、
「円安の終わり」は日経平均株価の「底力」を大きく損ないます。
中学生相手のような初歩的な話をして恐縮ですが、
アベノミクスでの株高要因のひとつは、
急激な円安による為替差益という「ボーナス」でした。
輸出企業の想定為替レートより円高になれば、
この「ボーナス」がすっかり剥落してしまい、
「日本企業は史上最高利益が続く」などという楽観論も吹き飛びます。
FRBは利上げのペースを早める理由は現時点で見当たらず、
円安よりは国際危機による円高圧力が目につきます。
これがどういう結果をもたらすのか、
次号メルマガ(第90号:1月10日発行)で分析してみたいと思います。
いずれにせよ、昨年秋からの一連のメルマガにおいて、
私が「金買い」の宣言をし、「冬ごもり」に入ったのは、
そう大きく間違ったタイミングではなかったと考えています。
少なくともこの大変動を前にして、気持ちはラクです。
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