最も怖いのは「目が曇る」ことです。
ギリシャ国民投票は否決が濃厚。
それはそれでいいとして、すでに「銀行倒産」などの「噂」が出ています。
災いがギリシャ一国のなかで封じ込められればいいのですが、
ひょっこりと「隠れた債務」などで域外の金融機関が倒れたりすれば、
もうひと波乱、ふた波乱はある恐れがないわけではありません。
日経平均はふたたびの上昇圧力にエンジンがかかり始めただけに、
それに水を差すようなことにならなければいいのですが。
それから、中国バブル崩壊も懸念されています。
これもメルマガに書いた話ですが、中国株が上がろうと下がろうと、
日本の株式市場には現時点であまり関係のない話です。
確かに、民主党政権の頃の日経平均は上海市場と連動し、
第2次安倍政権になってからNY市場と連動するという特徴がありましたが、
最近ではどちらの市場とも連動せず、日本株の独歩高となっています。
無論、私も「中国バブル崩壊」は気にはしておりますが、
どちらかといえば、それは日本の不動産市場への影響の件です。
中国の「株成金」は東京都心などの不動産を買い漁っていましたが、
それが続かなくなるのであれば、都心の不動産価格は下がります。
つまりは、余剰資金を持つ「成金投資家」の話です。
そうではなくて、中国バブル崩壊が日本企業の業績を低下させ、
日本株の下落を招くような展開になるかどうかは、
中国国内の基本的な供給力、需要量の多寡によるものですので、
中国富裕層の日本での「爆買い」がやむかどうかとは文脈が異なります。
中国に関して私が心配しているのはただひとつ。
政敵を粛清し続けている習近平政権が、
今後も政権基盤を維持できるかどうか。
これにかかっています。
今、中国政府は株安を阻止するためにあらゆる手を尽くしていますが、
政権の指導力が確固としている限りはいずれ「問題の解決」ができます。
早い話、「嘘でも何でも」数値をでっち上げることすら可能です。
(というより、中国に「本当の数値」なんて存在しません)
しかし、政権の指導力が落ちてきたならば、
需要も、供給も、資金循環も、すべてが逆回転をし、
日本企業にも甚大なダメージが及んでしまいます。
中国で発生していることは全て、イデオロギーとも経済論理とも関係なく、
徹頭徹尾、「権力の論理」を背景にしていることは肝に銘じておくべきです。
したがって焦点となるのは、今回の「中国バブル崩壊」が、
まだ習政権のコントロール下にあるのかどうか。その一点です。
この点、メディアやネット上の言説を見ていると惑わされます。
特に、中国共産党が好きか嫌いかという視点から、
なんらかのポジショントークをしている御仁は要注意。
政治の論理、経済の論理は冷徹ですから、
イデオロギーや観察者の個人的好悪の世界を超えたところにあります。
そりゃ、私だって中国共産党は大嫌いです。
自国民を何千万人も殺し、チベットで「他国民」を大量虐殺しながら、
「日本軍の蛮行」ばかりを過剰にプロパガンダしているのをみると、
ひとりの日本国民として怒りが湧いてくるのは当然です。
しかし、それと政治分析、経済分析は別の話です。
過去、イデオロギーや民族的好悪をもとに、政治経済の現実を見ず、
「アメリカの資本主義はまもなく終わる」
「中国はすぐに四分五裂する」
といったことを喧伝する人を信じたら、相場は全敗だったはず。
政治や市民運動の世界に生きるのならそれでもいいのですが、
投資の世界で勝ち抜くために、最も怖いのは「目が曇る」ことです。
だから私は、国内政治をみるにあたっても、
自分の「政治的立場」と、「政策のプロ」「個人投資家(事業者)」の視点は、
徹底的に区別し、峻別し、目を曇らせないようにしています。
それは、長く永田町に生きてきますと、いろいろなしがらみもできます。
ある程度の「政治的立場」も形成されますし、応援したりされたりもあります。
しかし、「権力の論理」と「経済の論理」は、そうした情的な世界とは別。
常に心をクリーンにして、冷徹に数値に基づいた計算をしていないと、
必ずといっていいくらい、政治も相場も負けます。
「希望的観測」「自分の願望」に基づいて投資をしたら、
必ずといっていいほど負けるのです。
自民、民主、公明、維新、共産。
すべて長所も短所もあり、だからこそ数千万、数百万の支持者がいます。
この「実態」から目が曇ったとき、私は終わると思っています。
しかし、世のアナリストの大半は、何らかの立場をもとに、
一種の「ポジショントーク」をしているものです。
だからこそ、私が完全ニュートラルな見立てに徹して、
メルマガの発行をしているわけです。
繰り返しますが、
「中国の未来」、「安倍政権の行く末」などは、
自分の好き嫌いや個人的願望などとは関係のない話です。
それをわかった上で、一方に「賭ける」ように投資をするのなら、
それはそれで結構ですが、それは決して投資家としての行動ではなく、
ひとつの政治信条やロマンに基く、「自己の感情を満たす行為」です。
どうか読者の皆様くれぐれもその点を誤解なきよう。
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