気が付けば5月の12連騰が一段落してからずっと、

日経平均は20000―20500円という非常に狭いレンジ内にあります。

瞬間的に上下にはみ出しても即座にレンジに逆戻りしますから、

買いの方も、売りの方も、儲けるよりは損が膨らむばかりでしょう。

メジャーSQ週(6月第2週)は値動きが荒かったですし、

日米それぞれの金融会合(6月第3週)の思惑でもそれなりに動きましたが、

どんなに短期間で値が動いても、この狭いレンジからは抜けません。

ご存じのように、私はずっと「様子見」のつもりでいますが、

最初からそのつもりでいる私も、少々、気持ちがじれてきます。

しかし、こういう時こそ要注意。

「感情で相場を張る」ことほど恐ろしいことはありません。

「相場は欲と恐怖の増幅装置。欲につられ、恐怖にかられて身を滅ぼす」

というのは「時鳥トレード」の鉄則ですが、

「欲」や「焦り」とまでいかなくとも、

ちょっとした「悪戯心」や「冒険心」で不用意に打った一手が発端となり、

やがて取り返しのつかない大敗に至るケースは多々あります。

特にあっという間に勝負のつく日経225やFXは危険です。

最初は退屈しのぎの「ちょっとだけ」の建玉のつもりが、

たまたま勝っていい気になって、さらに大きなラッキーを期待したり、

その逆に少し負けて頭に血がのぼり、損を取り返そうと躍起になったりで、

勝てる根拠もないのに大きく勝負をしてぱこーんとやられてしまい、

相場が上下に激しく揺れ動くなかで、自らでどんどんと墓穴を掘るように、

「高値の買い」、「安値の売り」の両建てを繰り返した挙句、

あっというまに証拠金が足りなくなってジ・エンドということは、

ベテランの方は大なり小なりご経験があるのではないでしょうか。

「不用意な一手」、「不用意な発言」が全てを崩壊させてしまうことは、

相場のみならず、人生全体においてよくあることです。

そんなわけで、じれたり、焦ったりしてきた時は要注意です。

この6月は一連の「関門」を通過し終わるまで、

上下どっちに動くかはっきりしませんが、

ひとたび動き出せば大きな動きになる可能性があります。

FOMCと日銀会合は相場全体にややプラスな結果で終わりましたが、

まだ、欧州と中国に大きな不安がくすぶっています。

特に、欧州情勢はギリシャのトリッキーな駆け引きに振り回され、

実際にどうなるか誰にも予測することは困難です。

たとえギリシャが破綻したとしても、

それがギリシャ一国にとどまる限り、さほど大変な問題ではありません。

それゆえ、騒動を極小化するために、各国とも対策を立ててはいますが、

しかし、「瓢箪から駒」のような展開でユーロやEUが崩壊するという、

「最悪のシナリオ」もあり得る以上、そうした「不安」を煽ることで、

ひと儲けをしてやろうとたくらむ悪い奴ら(?)もいます。

そういえば、かつて欧州各国を歴訪している最中に、

「ギリシャ人を信用するな」と言われたことがあります。

私は、特定の民族をひとまとめにして悪く言うのは大嫌いですが、

良くも悪くも彼らが交渉と駆け引きに長けているのは有名です。

私は、それなりに海外経験はあるほうだと思っていますが、

数十か国を訪問したなかで、唯一、「してやられた」のはギリシャです。

タクシー・ドライバーが私の払ったお札を大げさに目の前で数えながら、

一瞬、違う話題を振り向けて私の注意をそらした瞬間にお札をすり替え、

「お客さん、足りないですね~」とやる非常に古典的なトリックで、

20ユーロを巻き上げられたのを今でも覚えています。

こちらも酔っていい気分でいたので素直に追加のお金を払った上で、

ホテルに帰って財布の現金を勘定して、ようやく気付いた次第。

ただ、海外では基本的に騙されるほうが「間抜け」ですので、

彼が悪いというより、私がアホだったのでしょう。

その、教訓はただひとつ。

「二度としてやられない」ために、いかなる時も万全の注意をすること。

尊敬できる友人もいますので、別にギリシャ人は嫌いではありませんが、

それ以来ずっと、「ギリシャ人」というと身構えるようにはしています。

さて。今回、彼らはどんなトリックを仕掛けてくるのでしょうか。

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