投資家が身を滅ぼすのは・・・
海外からの不安要因がちょっとだけ薄れ、地下のマグマがちょっと動きました。
昨日の日経平均は、久々に先物主導の上げで139円高。
一部報道では「ユーロ圏がギリシャ離脱を睨んだプランB作成」情報に反応し、
上方面の仕掛けが出た結果、昨日の急激な上昇になったとも言われていますが、
私には、この報道が言っている意味は、何のことやらさっぱりわかりません。
そもそもユーロ圏に統一した「プランB」などは現時点で存在しておらず、
各国バラバラに「その時」に向けた備えを考え始めただけの話です。
そして、そういう危機管理計画は、いついかなる時も立てておくものであり、
それによって、とりたててユーロをめぐる状況が変わるわけでもありません。
また、具体的な「プランB」の内容が、立派で隙がないのであればともかく、
海のものとも、山のものともわからない「ギリシャ離脱計画」ならば、
むしろ、再度のユーロ危機となって相場は荒れると考えるのが自然です。
それなのに、ちょっとした報道をきっかけにして上昇したのは、
いくらなんでも不自然です。
おそらく、週明けからの日経平均が、下げても下げても反発してくるので、
「下方向への仕掛けは具合が悪い」とみたヘッジファンドが、
なんでもいいから材料が出たのをきっかけに、
とりあえず、上昇を仕掛けてみた、というのが真実でしょう。
実際、米国でちょっと良くない指標が出たら、
日経先物はナイトでまた、19600円台まで下がってしまいました。
無論、「日米欧中同時超緩和」という前提がある限り、
いつかは、地下にたまったマグマが本格的に噴火を始め、
「熱い夏」に向けての動きが始まることになるのでしょうが、
当面はまだ海外の波乱要因がすべてクリアになったと判断するには、
やや時期尚早なのかな、とも思います。
このあたりの見立てはまた、次号メルマガ(第56号:5月17日発行)で。
私は、といえば、自分自身がエントリーする条件を満たしていないため、
ちらりちらりと参考程度に株価を眺めるだけにとどめています。
相場で失敗するきっかけは、たいてい「自分のルールを破る」ことからです。
株は上がったり、下がったりするものですから、
順張りでも、逆張りでも、うまく条件にはまったなら儲かるはずです。
そしてその条件がくるのをきちんと待てれば、いずれ勝つはずなのですが、
投資家というのは不思議なもので、自分で自分を滅ぼすようなことをします。
とりわけ、
・大勝ちした後
・大負けした後
・じりじりと待つ時間が続いた時
・(必要もないのに)自分自身に課した「ノルマ」に達していない時
などで平常心を失った際や、
・「私はこれで儲けた」という話を聞いた時
・電車のつり広告に「大暴落」や「バブル」の見出しを見た時
などの「雑音」が耳に入った際に、
練りに錬ってきたはずの投資戦略をあっさり捨ててしまい、
自分でも説明のできない行動をすることがあります。
かつて、世界中を旅しながら、行く先々で終値だけを「電報」で確認し、
電報だけで売買注文をして巨万の富を築いた達人が実在したといいます。
(本にもなっている有名な話です)
しかし、その達人でも、しばらくウォール街に滞在し、
ブローカーや仕手筋らと接触して様々な噂や憶測を聞いた数週間のうちに、
あっというまに資産の多くを吹き飛ばしてしまったそうです。
それで反省したその達人は、証券会社の担当者に、
「終値以外の電報以外、決して連絡してはならない」と言い残し、
ふたたび世界を回る旅に出たら、資産はまた倍増したといいます。
昨日の日経平均の動きを見ていて、私はその話を思い出しました。
ちょうど今、「じりじりと待つ時間が続いた時」になりつつありますが、
全然動かなかった相場が、なにかのきっかけで急に数十円動くと、
「(特に日経先物では)時鳥トレード以外やらない」と決めた私でも、
ついついエントリーしたくなります。
しかし、よく考えてみれば、動いたといっても上下に100~200円程度。
ギリシャをはじめとする海外の波乱要因はまだくすぶっていますし、
「日米欧中同時超緩和」が6月以降も継続するのかまだわからず、
つまるところ、まだ、何の状況も変化していないのですから、
少なくとも私の考えるエントリー条件を満たしていません。
確かに、目先は海外の波乱要因に荒らされる懸念がありますが、
それはいつ起こるのか、そもそもあるのかどうかもわかりません。
また、条件さえそろえば、「熱い夏」になりそうですが、
「日米欧中同時超緩和」が本当に6月以降も続くのか、
日本政府がこれから繰り出す「玉」がきちんとヒットするのか、
まだまだクリアに判断できる状況が手元にありません。
もともと、私は常に「株価位置」だけをみて勝負するようにしており、
「予測」を基にして投資することはありませんが、
ことに今の地合は正確な「予測」がしずらい状況にありますので、
いずれにしても、私としては静観するしかありません。
そんなわけで、私は自分自身の定めたルールに忠実に、
目先の100円、200円の動きに惑わされないように心がけます。
いずれ、「お芝居」の構図がはっきりし、必ず相場が動く日が来ますから、
その時まで力を蓄えるつもりです。
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