すなわち、「資産とは何か?」。
昨日の日経平均は2万円に再トライも、利確に押されていったん反落。
しかし、19800円手前でがっちりと支えられ、夕方にかけて切り返してきました。
「2万円は高い、さりとて下値も固い」というわけで、
終日にわたって、わずか数十円の値幅に閉じ込められた格好です。
ただ、当面、2万円を大きく超えて上昇する材料は見当たりませんし、
昨日の「2.17円安」というのは、嫌な感じのする数字です。
さんざん上昇しきった後、さらなる上値トライに失敗し、上ヒゲをつけたらもう、
それは通常ならば調整入りするサインです。
もちろん、依然として内外の状況は「めいっぱいの幸運」が継続していますし、
今は下がっても「官製相場」の下支えが効いていますので、
そう簡単に急落しないことも予想はされますが、このチャートを見る限り、
当たり前の状況なら黙って売りを入れて放置すべき場面です。
少なくとも「高値から高値へ」と買っていくのは危険かと思います。
ご存じのように、私はずっと「売り目線」です。
ナイトセッションでの2万円再トライ(2度目の上値トライ)の失敗をみて、
19940円で売りを入れました。
もっとも、しばらくはPKOの下支えが強いはずですので、
撤退もしくは損切りを十分に覚悟しておりますが。
ところで。
最近、困っていることがあります。
どこかの業者が名簿を流出させたのか、最近、不動産のセールス電話がうるさいです。
都心のワンルーム・マンションを「節税目的で買いませんか?」と言ってきます。
表面利回りで3~4%のものまで平気で勧めてきますが、
管理費、修繕積立金、固定資産税、金利だけでもう、入ってくるお家賃とトントンです。
「節税目的」とはつまり、「キャッシュフロー(CF)が出ない物件」ということ。
減価償却費のぶん赤字になり、それが申告所得を減らすというわけですが、
バブルの頃にこの誘い文句につられて不動産を買った人は全員が大やけどをしました。
考えてみれば簡単な話で、CFが出ず、帳簿が赤字になるというのは、
つまりは「商売(不動産賃貸業)として成り立っていない」ということです。
もちろん、「節税」で現金がたまりつつ、不動産価格が下がらないというなら、
将来、その物件を売却したときにキャッシュが残るはずですし、
この先、さらに物件価格の上昇が続いて、売却益が出るならハッピーです。
しかし、都心の投資用不動産の価格は、この3年で1.5~2倍に上昇しており、
経済状況によっては買値以下に下がる可能性もあるわけです。
経過年数分の価格下落は必ずありますし、予期せぬ事故も考えられます。
借金して物件を買い、キャッシュも回らず、売れば赤字になるというのは悲惨です。
バブル期にはこのパターンにはまって、たくさんの人が破産に追い込まれました。
すでに高止まりしている都心の投資用物件はもう、
「節税目的で」という言葉が出てきた時点で、投資としては不適格です。
私は、政府のインフレ政策で、今後も資産インフレは続くと踏んでいますし、
不動産はまだ魅力的な投資のひとつだと考えておりますが、
買うのであれば、キャッシュが回り、事業として成立するものに限ります。
たとえ価格が大幅に下落しても、月々のお家賃で経費をまかない、
元利を返済してもなお、お金が余り続けるのであればどうってことはありません。
そのまま、10年、20年と「塩漬け」にして待っている間に、
借金は完済され、お金は溜まり、最悪、「土地値」で売却できるのです。
間違っても失敗しない、「安心、安全、堅実」な投資です。
しかし、都心では局所的に一気に上昇し切ったエリアも多く、
そうした場所の不動産を「借金して」買えば毎月赤字なのですから、
最初から「商売(賃貸業)として成り立ってない」わけですし、
もともとが「高値掴み」なわけですから「上昇余地」は限られており、
将来的な売却益がそうたくさん望めるとも思えません。
一方、ここから10年もアベノミクスが続くことはまずありませんから、
今後、万一、政権交代や自然災害、戦争、財政破綻などで「潮目」が大きく変われば、
保有する不動産は一気に半値近くまで下がる恐れもあるのです。
「上昇余地」が限られている一方、「下落余地」はたっぷりあるのです。
無論、半値になるまで下落する可能性は10%もないかもしれませんが、
しかしある一定の確率でそうなるのであれば、
その確率のぶんだけ、「高値掴みした購入者」は破産リスクを抱えるわけです。
無論、現金買いの方や、半値になっても平気なほど他の収入があるなら大丈夫ですが、
同じ資金、同じ収入があるのなら、堅実に時期を待って、堅実な資産を、
なるべく「底値」に近い価格で買うほうが、誰がどう考えても賢明です。
おそらくは数年、長くても10年で大きな経済トレンドはサイクルしますから、
それくらい待っていたら、また「底値」の不動産が買えるはずです。
無論、今、条件にあういい物件があれば、私も買うつもりです。
しかし、私が今から不動産を買うのであれば、
まだ上がり切っていないエリアか、相場よりもかなり安い物件に絞って探し、
万一の場合の「下落余地」が少ない物件に絞ります。
もし、そういう物件が見つからなければ、絶対に買うことはありません。
商売の基本は「安く買って高く売る」ことに尽きます。
「高く買って、さらに高く売る」というのは、いっときは成り立ちますが、
基本的にそれは「ババ抜き」です。
いつかどこかで「高値掴み」をしてしまい、
コツコツ貯めた財産をいっぺんに吹き飛ばして、身を滅ぼすことになります。
あくまで、不動産は「投機商品」ではなく、「資産」として買うべきです。
もし、
「資産が生み出すキャッシュが、経費、税金、元利返済を【常に】上回る」
であれば、景気変動や価格の上下など関係ない「安心、安全、堅実」な「資産」ですが、
キャッシュフローが出るどころか、キャッシュアウトになるようなものは、
古今東西、「資産」とは言わず、ただの「負債」、「お荷物」と呼びます。
私のところに毎日のようにかかってくる営業電話のトークは判で押したように、
「高収入の方は、皆さんこういった物件を買って節税しておられますよ」
というものですが、「資産」と「負債」の意味がわからない方は、
「みんながやっているなら、俺だって投資用不動産のひとつやふたつ・・・」と、
明らかに「商売(賃貸業)として成り立っていない」物件を買うのですから、
お気の毒というか何というか。
私は、営業電話をかけてくるセールスマンに自分もプロであることを明かした上で、
「で、こういう採算のとれない物件って売れるの?」と聞いてみるのですが、
「ええ、『皆さん買ってます』というと、高所得者は買うんです」と笑います。
「でも、社長とか自営業者とかプロの投資家は買う?」と聞いてみると、
「買うわけないじゃないですか。医者やサラリーマンの高所得者だけです」と、
なんだかバカにしたような口ぶりで答えます。
皆さん、これが実態なのです。
賢明な人はやはり、採算がとれず、キャッシュの出ない投資はしないのです。
どんなに周囲が「バブルだ」と囃したてても、明日、政変が起きるかしれず、
そうなったときにわが身を滅ぼす「丁半博打」はしないのが「賢明なる投資家」です。
わざわざ「商売として成り立っていない」高値の不動産物件を今、買わずとも、
何度もメルマガに書いているように、いくつかの投資商品は今、
これ以上ないくらい「底値」で底練りのさなかにあり、
いつか状況が変われば、ぽーんと上昇することが予想されてはいるのですが、
ほとんど「上昇余地」がなく、たっぷり「下落余地」のある商品に人気が集まり、
逆に「下落余地」がほとんどなく、「上昇余地」が大きいものは無視されます。
不思議なものですね。
(※ 新しい読者が増えていますので、現在、「底練り中」のものについては、
次号メルマガ(第52号:4月19日発行)で改めて考察いたします。)
実のところこれは、株式投資も同じです。
株の勉強をなさった方なら「安全マージン」という言葉を聞いたことがあると思います。
また、いろいろな指標があるなかで、常に注目されるのはPERですが、
ご存じのように、それは「利回りの逆数」ですから、
つまりは、
「利回りが高いとPERは低い」
「利回りが低いとPERは高い」
ということ。
不動産なら利回りが高い物件には人気が集中するはずですが、
不思議なことに、株式投資というのは利回りが低いものに人気が出る傾向があります。
結果として、「高値掴み」のババを引いて大損する人が続出するのに、
それでもなお、株が高値になると煽られて買う人が増えるのは不思議です。
「株」、というのは「事業の一部」を買うことです。
私は株式投資においても、不動産投資(これも事業です)と同じように、
「十分にキャッシュが回る」事業を買う必要があり、
「安全マージン」を高めるとはそういうことだと考えています。
長くなりましたので、今日はこのへんで。
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