(※午前1時半の更新です)

NY市場が200ドル近く上げた翌日、節分の日経平均は222.19円も下げました。

国債の入札不調をきっかけとして、先物主導で一気に売り崩されましたが、

日銀の異次元緩和が続く限り、国債市場に異変が起こることは考えづらく、

実際、ナイトセッションでは、するすると値を戻しました。

「政府PKO」「日銀プレー(日銀によるETF買い)」もありますから、

現時点での国内要因に注目する限り、そう簡単には売り崩されそうにありません。

ただし、外的環境はまだすっきりとしません。

一応、ギリシャは債務減免の要請撤回を示唆する交渉姿勢を示して、

欧州発の「冬の嵐」は、いったん遠ざかりつつあるようでもありますが、

まだ本格的な交渉は始まっておらず、新政権の手の内はわかりません。

また、外的要因といえば、米国で弱い指標が出ることも気になります。

今、国内要因に注目した「期待」と外的要因に広がる「不安」が拮抗していますが、

ひとたびブレークしたら、上にも、下にも極端な動きになりやすい時です。

いずれにせよ、「合理的」で「予測可能」な価格形成とはほど遠く、

ヘッジファンドと政府側による「思惑」のぶつかりあいで相場が決まっています。

週末から来週にかけてのイベントを前に、ポジション取りは慎重に。

さて。

昨日、参院で補正予算が通過。

昨年末の「財務省、降伏」を反映して、経産省の意向の濃い内容に仕上がり、

「景気浮揚効果」に関しては、まずまずの及第点だったのではないでしょうか。

おかげで、世界市場がこれだけ荒れるなか、日本市場は底堅い動きをしています。

来週から本予算の審議が本格化します。

年末から大急ぎで作ってきた電話帳何冊分もの予算書が永田町・霞ヶ関界隈に配布され、

100兆円もの国費の行方が精査されます。

予算こそは国家を動かす最大の動力源ですから、相場と株価に直接的に影響しますし、

歴史上稀な「官製相場」では、「政治と相場」「政治と株価」が直結しています。

2015年度の本予算に関して言えば、

バラ撒きによる「景気浮揚効果」で、短期的に株価を上昇させることを使命としており、

一方で、絞るべきは絞って、長期的な財政再建と国債・通貨の信任も維持すべきです。

これら相反する課題をいかに安倍政権が処理していくかで、日本経済の未来が変わります。

次号メルマガ(第42号:2月8日発行)でいくつか気づいたポイントを分析します。

ところで。

シリアの人質事件の内幕について、いろんな憶測が流れています。

後藤さんがなぜシリア入りしたのか、本当に個人的な思いからのミッションだったのか、

外務省と後藤さんの関係や、ISIL側のビデオ公開までの間の水面下での交渉・折衝など、

すべてにおいてきちんとした検証が、今後、同様の悲劇を防ぐためには不可欠です。

しかし、この事件は外交・安全保障・テロに関するものとして「特定秘密」がかかり、

その真相を調査しようとするだけでも逮捕されるリスクがともなうことになるでしょう。

すでに政治的な強い圧力による「報道管制」もかかっており、

おそらく、未来永劫、すべてが闇の中で処理されるはずです。

そこで、「相場分析」をテーマとする私・時鳥は、角度を変えた分析をしてみます。

「救出失敗によって、政権はダメージ・コントロールに失敗したのではないか?」

という点です。

総理が中東歴訪中だったこともあって、今回の事件処理は、

初動において「最強の参謀軍団」である官邸ではなく、総理本人が行いました。

これが、総理と官邸との間に微妙な距離を産み、

官邸と外務省の発信内容を微妙にぎくしゃくしたものにし、

事件の渦中と事後に総理がとったいくつかの「突出した言動」に対して、

与党内においてすら警戒と反発が広がっている兆候がみられます。

菅長官や世耕副長官は、「救出失敗」という「結果責任」にともなう、

「ダメージ・コントロール」に躍起になって動いていますが、

総理の指導力に疑問符がつき、政権基盤が危うくなるようであれば、

今後の「アベノミクス相場」の展開にも影響を与えてきます。

すでに「有志連合への後方支援はしない」と、発言の方向性に修正を迫られていますが、

4月の統一地方選に勝てず、5月以降の安保法制の議論で大混乱に陥れば、

「マッチョな安倍」のイメージは「弱々しい負け犬」となってしまい、

安倍総理の宿願である改憲などは「夢のまた夢」へと遠ざかります。

そして、市場というのは、指導力のない政権が打ち出す政策は、

いくら魅力的な内容でも、その実施を疑問視して、そっぽを向くものです。

「好事、魔多し」といいますが、支持率が絶頂にあった政権が、

些細なミスからほころびを生じ、あれよあれよと崩壊することは、

歴史上、いくらでもあった話です。

政権が指導力を失いかねないダメージは、いついかなる時も要注意です。

私は今、今年の6月以降に政策的な「玉」が一巡して以降の相場展開を考えるため、

「アベノミクス2.0」あるいは「ポスト・アベノミクス」のシナリオ作成をしていますが、

「人質救出失敗」から3日間で、永田町・霞ヶ関界隈の空気がやや変わったと感じてます。

それがどう今後の相場に影響してくるのか、

次号メルマガ(第42号:2月8日発行)で分析してみたいと思います。

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