「潮目」の見極めがすべて。
先週金曜日のNY市場は大反発。
直近の下げが凄まじかったところに、欧米版「追加緩和」の噂などが流れたため、
いったん、大きな買戻しが出た格好です。値幅的にも一服は当然。
これを受けて、今朝の日本市場は、「窓をあけての上昇」から始まりそうです。
先週、いいところまで下げましたので、そろそろ正常化して欲しいところです。
できれば今週は日経平均が14800円をキープしておいて、
来週、円安を受けた9月期の決算結果が出揃って15000円を回復すれば、
年末に向けて政府が出してくる「玉(政策)」とあいまって、
日経平均はふたたび年内の最高値を目指すことになるはずです。
・・・が、
それはあくまで「ベストシナリオ」。
現実にはそううまくいくかどうかわからないので、私は買っていません。
「儲け損ない」は損失ゼロですが、「下ブレ」は打撃が大きいものです。
投資の要諦は【1】損をしない、【2】損をしない、【3】1と2を守る、です。
損をする可能性があるときは、やはり私は動きません。
そもそも、欧州不安、中国不安、エボラ不安、エネルギー価格下落など、
直近の世界同時株安の要因は、まだ何ひとつ解決していません。
また、金曜のNY市場は、有力連銀総裁がQE継続に言及して反発しましたが、
ベージュブックは米国経済の自律回復を物語る内容になっており、
株価の下落だけを理由に、イエレン議長が出口戦略を変更することはまずなく、
したがって、QE終了にともなう諸々の「調整」が継続する可能性は高い、
というのが私の見立てです。
今、世界経済にのしかかる不安要因は、ちょっとやそっとでは解消しません。
直近の下げがきつかったので、いったんは大きく戻す可能性はありますが、
不安要因を内包したままの上昇であれば、いずれまた強烈に下げるはずです。
それよりも私がさらに重要視するのは、国内要因です。
「戦後最強内閣」とすら言われた安倍政権の足元で、3発もの爆弾が炸裂しました。
しかも、そのうち、一発は核爆弾級です(小渕問題)。
億単位の政治資金が不透明・不明朗という、小渕経産相の辞任は当然として、
公職選挙法違反が疑われる松島法相、政治資金規正法違反が疑われる江渡防相も、
これまでの内閣であれば、一発辞任になっていてもおかしくない不祥事です。
憲政史上、3人もの重要閣僚が同時に辞職に追い込まれながら、
内閣がまともな政権運営をできた例はありませんから、
安倍政権は9月の高揚感から一転して、退陣や解散がちらつく危機を迎えました。
もっとも、今のところ、自民党内に「安倍おろし」の様子がないことや、
「そうはいっても民主よりマシ」という「国民的常識(?)」のおかげで、
簡単に安倍政権が倒れることはないようには思えます。
また、政権のメディアコントロールとネット世論工作は強力ですから、
永田町で進行する「権力ゲーム」の真相に国民が気付くまで時間がかかるでしょう。
(このことについては、次のメルマガで書きます。
安倍政権下の報道やネット世論には特定のバイアスがかかっています。
投資家はその特有の「クセ」を見破らなければ、いつか致命的にやられます)
しかし、これほどの重大不祥事ですから、確実に「効いて」きます。
発足当初は驚異的な支持率を誇り、高い株価を謳歌した第1次安倍政権は、
閣僚の辞任ドミノが主因となって、短期間にあれよあれよと崩壊しました。
今回発覚した3つの不祥事は、当時をはるかに越えて深刻な内容です。
先週、永田町を歩いて私が感じたのは、
常春のリゾート・アイランドのようだった政権周辺の空気が、
初秋の満州の大平原のような冷たい風に、からりと変わったことです。
現時点では「ライバル不在」の安倍政権ですが、
「弱い」とみると、どこかから「ライバル」が出現してくるものですし、
官邸周辺に遠慮して黙っていた人々も、やいのやいのと存在をアピールし始めます。
これが、相場にどんな影響を及ぼすか、私の「本能」として確かめたいと思います。
海外勢がアベノミクスに期待し、長期かつ本気の資金を入れてきているのは、
安倍政権の基盤が盤石であり、抵抗をはねのけて必要な改革をやるとみたからです。
これは、「事実かどうか」というより、そう「信じるかどうか」の問題です。
もし、3閣僚同時スキャンダルで「潮目」が変わり、
海外勢が「安倍政権下の長期上昇トレンド」を「信じなく」なれば・・・。
現在、ドル建てでみたアベノミクス相場は、きれいな三尊天井を形成しており、
このまま崩落する恐れも、決して皆無ではありません。
こうした「不安要因」をかかえたまま、日本市場が上昇していっても、
いずれどこかでまた盛大に下落するはずだというのが、
私が今、「儲け損ない」リスクを気にせずに、この反発を眺めている理由です。
いずれにせよ、この10月、11月は、政権にとっては試練のときです。
無論、官邸には凄まじい知恵者の参謀がいますから、
この難関を打開し、劣勢を跳ね返す「奥の手」を出すかもしれません。
(前号メルマガ(26号:10月19日発行)で、いくつかの案をご紹介しました)
今の時点では、どっちに転ぶかなんとも言えませんので、
どちらにポジションをとっても「丁半博打」になりますが、
いずれ、そう遠からず、この「のるか、そるか」の行方がはっきりします。
今のところは、その「潮目」の見極めがすべてだというのが、
本日朝の時点での私の見解であります。
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