「アベノミクス2.0」と「あなたの選択」。
「選挙の構図」がほぼ固まりました。
前号メルマガ(31号:11月23日発行)で詳しく分析しましたが、
野党は「次の総選挙」を見据えて、「野党再編の主導権争い」に移行しました。
したがって、与党優位の構図が引っくり返ることはまずなく、
安倍政権は総選挙後に「アベノミクス2.0」を発動することになりそうです。
それゆえ、投資家として考えるべきは、「アベノミクス2.0」の正体についてです。
当然ながら、与党公約には「不都合な真実」は一切書かれません。
選挙戦に不利になる内容は、選挙が終わってから出てくるだろうというのが、
内外の投資家の「暗黙の了解」です。
それゆえ、選挙後、4年間の時間が与えられた安倍政権が何をやるかは、
様々な文脈から推測するしかありません。
多くの国民が安倍自民党に「期待」しているのは、
「正規雇用者の増加」と「賃金の上昇」です。
皆さんも、「従業員」、「労働者」としては、それが望ましいに決まってます。
しかし、「投資家」、「株主」の立場で考えればどうでしょう?
皆様がお手元にお持ちの株の値段を、「手っ取り早く」上昇させるには?
そうです。正規雇用を減らし、賃金を減らすのが一番「早い」のです。
無論、そんなことをやったら、長期的な成長性、安定性も削がれますので、
長期スタンスの賢明なる投資家はそれを望んできませんでした。
(ウォーレン・バフェットが取得した企業にリストラを要求するでしょうか?)
しかし、政府が「世界一投資しやすい国」を提唱し、意図的な円安政策によって、
海外からの投資を呼び込む以上、短期筋の海外勢も「物を言う」ようになります。
このあたり、メルマガ読者の方はよくご存じの内容ではありますが、
「労働者の利益」と「投資家の利益」は、多くの局面で相反します。
ことに、「賃金」については基本的に対立関係にあります。
これまでの2年間「アベノミクス1.0」では、「第1の矢」と「第2の矢」によって、
輪転機を回して刷ったお金と、増税して集めたお金の盛大な「バラ撒き」をやり、
何が何だかわからないまま株価を上げることには成功してきましたが、
国民が望む「正規雇用者増」や「賃金上昇」は、結局、実現できませんでした。
安倍総理は「2年間で100万人の雇用」と言いますが、その大半は建設など短期雇用。
「2%の賃金増加」と言いますが、それは「名目」の話。実質では1.7%減です。
「第1の矢」と「第2の矢」の効果が尽きれば、その短期雇用すら剥落しますが、
「アベノミクス2.0」で、それでも「株高政策」を続けることにするならば、
今後は、政権が触れてこなかった「不都合な真実」を直視せざるを得なくなります。
政府もメディアも黙っている「不都合な真実」。
それは「正規雇用+賃金増加」と「株高+資産高」の両立シナリオがないことです。
私は、何度も「アベノミクスは終わっていない」と申し上げておりますが、
それは、「株高+資産高」政策としてのアベノミクスのことを指しています。
そして、好むと好まざるとにかかわらず、「株高+資産高」を選択した以上、
私たちは、今後、「自分達の選択(投票)」の結果を身を持って体験します。
もちろん、安倍政権の言う「好循環」が発生する可能性はあります。
しかし、「株高+資産高」で、まず「資産家」が潤い、
その富が、「従業員」、「労働者」のところにまで「循環」してくるという、
いわゆる「トリクル・ダウン理論」が、先進国で成功した事例は皆無なのです。
これは、ローマ法王が喝破した通りです。
その意味では、「アベノミクス」とは、
「株高+資産高」を「正規雇用+賃金増加」へと波及させる「実験」なのですが、
「株高+資産高」には矢が3本ありますが、「正規雇用+賃金増加」には皆無です。
ひとつ確かに言えるのは、GDPを増加させ、今後も株高を続けるためには、
「アベノミクス2.0」で強力な「第3の矢」を放つしかないことですが、
それは国民全体における「富の大移動」をもたらすことになります。
アベノミクスはこれまでのところ、「富める者は益々富む」ための政策ですが、
それが「貧しき者」にどう作用するかは、まだほとんど理解されていないことを、
私たちは念頭において、これからの生き方、資産形成を考えていくべきです。
もちろん、まだ誰にも知られていない妙策が飛び出たりして、
国民全体が潤って豊かになれば、それはそれは万々歳なのですが、
しかし、そううまくはいかない可能性も非常に高いことを考えた上で、
「アベノミクス2.0」下の日本でどう生きるか、どう資産を配分するかを、
世間に先駆けて考えていくのが、投資家としての本来あるべき姿です。
目先の株価は、再び危険なくらいの高値に差し掛かっていますが、
「総選挙のアノマリー」や「チャイナ・バズーカ」などの上昇要因もあり、
12月14日の投票日まで高値圏での狂乱と波乱を繰り返しはするでしょう。
「時代の転換点」にある今、投資家としてやるべきはやはり時代の先読みです。
そのため、次号メルマガ(32号:11月30日発行)では、
「アベノミクス2.0」によって、どんな富の移動、富の配分が行われるのか、
世間に先駆けて、分析してみたいと思います。
株式市場での短期的な勝ち負けはたいした問題にはなりませんが、
長期的な時代の趨勢を読み違えれば、時として死を意味します。
メルマガ読者には少し明かしていますが、
私にとって決定的だったのは、「時代の節目」となった、
・2008年、リーマンショック前のプチバブル終了時
・2011年、民主党政権下の「大底」
で思い切って生き方を変え、資産の配分を変えたことにあります。
そしてそれが正しかったからこそ、短期間で「富裕層」にまでなれました。
最大の要因は、「時代の読み」なのです。
「時代の転換点」でどういう潮目に乗るか。
それは、「あなたの選択」です。
しかし、そんな決定的な事柄を、政府もメディアも証券会社も語りません。
というより、語れません。
だからこそ、メルマガ読者の皆さんに、余すところなくお伝え致します。
乞うご期待!
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