「淘汰の時代」と投資についての考え方。
火曜に動き出したのを受けて、
水曜の日経平均は16800円台まで吹き上がりました。
金曜朝に向けてこのまま走るか?と思われた矢先、
SQ要因だけでない、別の材料でくじかれました。
自動車メーカーがらみの材料2つです。
ひとつはトヨタの決算。
もうひとつは三菱自の日産傘下入り。
「自動車ショック」というほど悪い材料とも思えませんが、
しかし、自動車産業の先行きが不透明になるのは、
日本経済全体にとって決して良いことではありません。
トヨタだけで全日本経済の約5%を牛耳ると言われています。
他のメーカーと関連産業全体では10数パーセントにもなります。
昨年末からの「リセッション入り」を指摘する声がありますが、
アベノミクス開始後、3年も経過しており、
すでに、景気のサイクルはひとつ回り終っています。
銀行の経営は怪しく、ユニクロなどの花形も失速、
この上、基幹産業である自動車にも、
あまりいい形でない「淘汰の時代」がやってくるのは、
日本経済の先行きはどうしても不安になります。
参院選(衆参ダブル?)を前に「経済対策」が打たれますが、
単なる「打ち上げ花火」に終わるものではなく、
新しい景気サイクルを回すインパクトを持つ、
根本的な政策転換が待たれているわけ。
しかし「本質的、実質的、決定的」な方向性こそ示されましたが、
具体的な「玉」は5月半ばにもなるのに、まだ出ていません。
前号メルマガでも述べたことですが、
投資家も、そろそろちょっと遅いなと思い始めています。
「一発逆転」の策が待たれます。
ところで。
自動車産業の「淘汰の時代」は、
いわば歴史的なものであり、その影響は長期に及びます。
為替や不正事件などの要因がクローズアップされますが、
私は、自動車産業は歴史的な大転換期にあるとみており、
巨大な「淘汰の時代」が近いと考えています。
一昨年からのメルマガで詳しく書いてきた話ですが、
ガソリンや軽油で車が走る時代はやがて終焉し、
燃料電池や電気自動車などの新方式に移行するのと同時に、
自動車は移動手段というより、社会インフラを構成する、
巨大な情報システムのひとつの端末の要素を濃くなるでしょう。
それはきっと、人類にバラ色の未来をもたらす進化でしょうが、
しかし、この大転換期、「淘汰の時代」を、
どのメーカーが勝ち抜くかは未知数です。
日本人としては、トヨタや日産などの日本メーカーが、
この「淘汰の時代」を見事に勝ち抜き、
世界の隅々隈なく「日本車」が走れば痛快だと考えますが、
米国、欧州、中国、インドなどの海外諸国も、
日本と日本メーカーを全部足しても勝てないくらいの、
膨大な研究開発費が投入され、日本勢に対抗した、
新コンセプトの自動車開発が行われている最中です。
この競争にどこが勝つかは未知数であるゆえに、
私は一昨年から「基盤的国策銘柄」から、
自動車産業そのものを丸ごと外しているわけですが、
それはこうした「淘汰の時代」が始まりそうだからです。
20世紀初頭の自動車産業や、今世紀初頭のIT産業などは、
予測不能のイノベーションで時代が変化しました。
これら「淘汰の時代」の当たりくじを引いた人は、
大変な大金持ちになっていますが、
その一方で膨大な数の投資家、資産家が破産したのも事実です。
「淘汰の時代」にある産業への投資は夢もチャンスもありますが、
少なくとも「安心、安全、堅実」ではないというのが私の持論です。
どういった産業分野が「安心、安全、堅実」なのかは、
次号メルマガ(第108号:5月15日発行)でまた触れます。
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