米国が9年半ぶりの利上げを決定。

これはすなわち「米国経済は危機を克服」ということを意味しますから、

米国の人々にとっては嬉しいニュースです。

相場をめぐる「不透明感」が払拭され、

NYダウも日経先物も大きく上昇しています。

先週からの荒れ模様となっていた際に、

「FOMC通過後に落ち着くだろう」と基本的な見立てを述べてきましたが、

「利上げ」発表直後である現時点では、やはり株価は上昇に転じております。

年末の「掉尾の一振」に向けて、ひと安心といったところでしょうか。

先週からの相場をめぐる焦点は「利上げをするかしないか」ではなく、

「利上げ」に絡んで展開される各プレイヤーの「思惑」「駆け引き」でした。

とりわけ、FOMC直前のタイミングで、

「日経平均のMSQ波乱」、「原油売り仕掛け」、「債券市場不安」と、

3つの事象が(おそらく意図的に)連続して発生したため、

「利上げ後」をめぐる「危機シナリオ」が煽られ、台頭してしまい、

「確定的な事実」もないのに「思惑」と「駆け引き」だけで、

NY市場も東京市場も大いに揺さぶられる展開となりました。

これを撃退したのがFOMC後のイエレン発言です。

金融政策を「引き締め」に転じたというのに、

発言の内容は限りなく「緩和的」であったということで、

市場に安心感を広げることに成功し、株価を上昇させるに至っています。

中銀総裁のなかには、「口を開けば株価が下がる」という人もいましたが、

イエレン議長の「市場対話能力」はやはりさすがというべきか。

ともあれ、「イエレンの魔法」によって、

今年最大の難関であったFOMCは、無事に乗り切ったようです。

ただし、「乗り切った」といっても、あくまで現時点の話。

米国市場では「米国経済の堅調ぶり」が歓迎されていますが、

世界には「脆弱さ」を増している国家がいくつもあります。

これで世界経済全体が新しいステージに突入するわけですが、

すべての国がきちんと対処できるとは限りません。

また、米国当局が利上げに転じたということの政策的意志は、

イエレン氏がどう表現しようと「経済を引き締める」ことに他なりません。

リーマン・ショック以来7年間の上昇局面にはひとつの終止符が打たれ、

景気と経済のサイクルが回っていくことになります。

今、私は来年以降に向けて「冬ごもり」の準備を進め、

「次のチャンス」への備えをしつつあることはお伝えした通りですが、

「イエレンの魔法」による今日の高騰劇を横目に見つつ、

やるべきことを淡々と進めようと考えています。

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