未来は誰にもわからないからこそ
先週末、イエレン議長のジャクソンホール演説を無事通過し、
米国株の行方は、米国雇用統計に下駄を預けられた形になりました。
したがって、雇用統計前後から、さ来週くらいに大きな変動が起こると予想され、
そこから先に、私たちの狙うチャンスが来るかもしれません。
前号のメルマガ(第18号:8月24日発行)に詳しく書きましたが、
具体的なエントリー・ポイントなどは次号(第19号:8月31日発行)でより詳しく分析します。
この週末は、メルマガの執筆と発行の合間に、いろいろと情報収集をしました。
なぜか、会食したのは、中東関係者ばかり。
中東某国の外交官や中東拠点のヘッジファンドの社長といった人々です。
皆、いろんな問題の渦中にある国の人々です。
こちらも中東の情報は欲しいのですが、あちらも日本の情報と分析を欲しがっています。
彼らと話をしたなかに、今年後半にかけて非常に気になる内容がいくつかありましたので、
いつも通り、最新情報とその分析を、次号メルマガ(第19号:8月31日発行)に掲載します。
ちょっとだけ書くならば、
ここからしばらく、中東の不安定化とNY市場の連動性が、世界経済の焦点のひとつであり、
多くの人々が、「トリガー」という言葉に敏感になっています。
また、アベノミクスによる経済回復と、経済力の復活した日本の右傾化は、
場合によっては、世界をひっくり返すかもしれないファクターだと思われています。
中国の膨張も脅威ですが、それが日本の暴発を引き出すこともまた、同様に警戒されているのです。
こういった材料が複雑に絡み合い、秋から来年にかけて世界経済はダイナミックに動きます。
「戦争」というファクターの影響はやはり重大です。
このまま平和におさまって、全てがうまく行けば、史上最高値のまま2015年に突入します。
しかし、歯車が狂えば、相場は一時的にリーマンショック級の大惨事です。
どういうシナリオになるかで、結果は天と地ほども違ってくるのですが、
だからこそ、政策当局もヘッジファンドも、こうしたいくつかのシナリオを並行して分析し、
状況が変化するに応じて「分がある」と思ったほうに賭けていくのです。
そのため、政治、経済だけでなく、軍事の問題についても情報収集を欠かしません。
しかし、そうして練り上げた「シナリオ」のなかで、どれが確実かは誰にもわかりません。
国際政治は、「指導者同士の好悪」といった、とてもヒューマンな要素で動きます。
そしてそれをベースとして、相場は上にも下にも激しく変動するのです。
政府、民間、外国人、日本人と、幾多のプレーヤーが様々な「思惑」で、
ガチンコの駆け引きと綱引きを演じるのが、相場というものです。
そして常に発生する偶発的な事象が、株価を上や下に激しく揺さぶり、
これをきっかけとして、上にも下にも「あり得ない」ような値動きが発生します。
未来はいつも「霧の中」なのです。
だから、
「世界経済は長期的にみて年平均4%くらいの成長をする」
「先進国と新興国の格差は長期的には縮小傾向にある」
といったメガトレンドくらいは、だいたい皆の意見が一致するにしても、
「明日の株価がどうなるか」といったことは、
大統領にも、中銀総裁にも、ヘッジファンドにも、
まったく誰にも「予測」することは不可能です。
(それができれば、その人物が世界の富を完全独占しているでしょう)
私が提唱する「時鳥トレード」は、相場に関する情報を限界まで分析して、
今後発生し得るシナリオをいくつか頭に入れておくことから始まります。
しかしながら、相場展開の正確な「予測」は「できない」と諦めて、
相場が「異常」な株価位置まで達するまで、ただひたすらに待つだけの手法です。
複数シナリオは頭に入れますが、そのどれかに賭けることはしません。
どのシナリオになるかの「予測」は最初からもう放棄しているのです。
かねがね申し上げているように、相場とは、
刻々に変化する状況を、いかに『予測』するかの勝負ではなく、
刻々に変化する状況に、いかに『対処』するかの勝負である
と、私は割り切っています。
そして、それでいいと思っております。
ところで。
ブログのコメント欄に以下のような質問がありました。
個別の質問にお答えすることは物理的に不可能なことが多いのですが、
今回のrenta様のものは、全ての投資家に共通する教訓だと思いますので、
以下に掲載させていただきます。
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時鳥様 毎朝楽しみに拝見しております。
ここまで連騰するとは思わず身の丈以上の
売りを入れてしまい、追証を入れられなく泣く
泣く本日引け間際に決済。決済した途端夜間に
決済価格より110円も下げてきました。
よくある失敗談だと思いますが、失敗を無駄に
は決してしたくはありません。こんな私に何か
アドバイスを頂けたらとても助かります。宜しく
お願いいたします。 (renta様)
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私がrenta様に偉そうなことをお答えするにふさわしいかわかりませんが、
唯一、他のブロガーの方と私が違う部分といえば、
「先物は怖い、先物は怖い、先物は怖い」と常々申し上げているところだと思います。
(過去記事:「日経225(先物)をやる上で絶対に注意すべきこれだけのこと」参照)
日経225を扱うブロガーの方々が「儲かる」「勝てる」とおっしゃる一方で、
私は徹頭徹尾、「先物は危険」、「破滅のリスクがある」と申し上げ、
警告と注意喚起をしながら、そろりそろりとエントリーポイントを探っています。
renta様のような悲劇を招かないためにも、
「避けるときは避け、逃げるときは逃げる」ことを、
読者の皆様に徹底していただきたいからです。
今後、renta様にアドバイスするとすれば、やはりエントリー前に、
「先物は怖い、先物は怖い、先物は怖い」と「マントラ」を唱えることでしょうか。
これは、「特典2」トレードをやるときも同じです。
そして、怖いからこそ、「このエントリーの根拠は?」と自問するのです。
「なぜ、下がる(上がる)と思ったのか」
を徹底的に考え、その「根拠」をメモします。
そして、
「別のシナリオになったらどうか」
「危険な要素はないか」
「落とし穴が潜んでないか」
「最大限のリスクはどの程度か」
と自問自答し、自分の許容できるリスクの範囲でしかトレードしないのです。
私は常に、「安心、安全、堅実」なゾーンに達していることを確認した上で、
それでも、思惑と逆に相場が動いても救出されるシナリオを常に用意しておきつつ、
しかし、なるべく、そのパターンにはまらないように、素早く逃げます。
「エントリーの根拠」
「安全マージン」
「万一の場合の救出シナリオ」
これらの全部が揃わないと絶対に出動しません。
年に数回しかそういうチャンスは来ませんが、それで十分なのです。
それにしても。
renta様がもし、私のメルマガの読者であったならば、
この水準からの「売り」は間違ってもされなかったと思います。
お盆が明け、8月中に7月31日高値15759.66円を回復する「可能性」があることを、
私は、明確な根拠とともに、繰り返し申し上げてきました。
8月後半から9月にかけては、内閣改造や臨時国会に絡んで動きが出てきます。
「7-9月期のV字回復」を演出するための「玉」も豊富に出て来るのです。
(どういう「玉」が出てくるのか、メルマガでは具体的にお伝えしています)
もちろん、政府の繰り出す「玉」が全部うまくいくことは珍しいのですが、
場合によっては思わぬ株高となり、16000円を伺う展開もあり得ます。
だからこそ、こういうタイミングで「売り」を仕掛けるのは危険だったのです。
個人が信用取引で踏み上げを食らうことは、破滅しかねないくらい怖いことです。
とはいえ、NY市場をはじめとする「グローバル・リスク」もくすぶってますので、
「買い」を入れるにはリスクがありすぎるともお伝えしました。
ひとつ歯車が狂えば、あっさり15000円割れする危険も確かにありました。
そして、どっちのシナリオになるかはNY次第です。
NYの本格調整はどこかで入るはずですが、
それがこの8月なのか、11月なのか、来年なのか、
今、現在、ヘッジファンド同士で間合いを取り合っているところです。
そして日経平均も、NY市場が動く方向に従って、上にも下にも極端に動きますが、
NYがどうなるか誰にもわからない以上、日経平均もどうなるか誰もわからないのです。
私が、「居心地のいい水準」のど真ん中にある、この株価位置からのエントリーは、
「丁半博打」であると申し上げてきたのはそういう理由です。
中途半端な株価位置での売買は、半々の確率で致命傷になることが予想されます。
「ここからもっと上がるだろう」、「もうここらで下がるだろう」という、
「予測」に基づいて投資をするのは結構ですが、冒頭でも申し上げたとおり、
政治家、役人、日銀、メガバンク、証券会社、ヘッジファンドなど、
誰と話をしても、皆、複数のシナリオを持っており、
皆が「必ずこうなる」という根拠を持って話すことは非常に稀です。
確たる根拠のない投資は常に、「丁半博打」であることを肝に銘じておきたいものです。
かくいう私も、過去に何度も軽率なエントリーで大失敗をしておりますので、
自分の反省をこうしてブログやメルマガに書き綴っているに過ぎません。
その意味では、この次は、renta様が、私などをはるかに上回るトレード巧者となり、
今回の「反省」を「投資」に変えて、
損したぶんの百倍、千倍を取り返す日が来ると、私は強く信じております。
renta様だけでなく他の読者の方々も皆がそうなれば、
今後、日本市場に攻めてくる外資、ヘッジファンドを、
ことごとく撃退できるようになるのではないでしょうか。
相場の空気に付和雷同して損をさせられるのではなく、
彼らが作り出す「虚構」の相場形成に、冷静に、着実に一撃をくらわすのです。
そうなれば、日本の個人投資家はもはやカモではなく、
愚かで強欲なヘッジファンドを食い殺す猛禽軍になります。
そういう日が来れば、とても痛快ですね。
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時鳥様
メルマガ読者の一人です。
僕は8月8日の大暴落で、安易なエントリーの為に追証寸前となり、今日のブログのように泣く泣く決済をし、大きな損失を出しました。
それがきっかけで時鳥様のメルマガを購読するに至りました。
今日のブログ、とても励みになりました。
カモではなく、富裕層になるために、常に冷静な判断を失わないようしっかり勉強させていただきます。
毎週のメルマガも、毎日のブログも
とても楽しみにしております
。
Atsushi様
コメントありがとうございます。
勝てる時だけ勝負すれば、カモにならないで済みます。
そして、負けさえしなければ、やがて大きな富を掴めます。
石橋を叩いて、叩いて、叩きまくり、年に数回ちょっぴりトレードしても、
年トータルでは10%や20%は殖えますが、
億万長者になるにはそのメンタリティと技術を身につければ十分です。
Atsushi様がやがて大きな富を掴まれることを心から願っております。
時鳥
時鳥様 アドバイスをいただきとても励みになり
ます。バックナンバーを読んでそこには
リスク管理、エントリーの条件等が書かれてい
ました。かなり火だるまにはなりましたが、
退場までは追い込まれていません。
もう一度バックナンバーを読んで体制を立て直
して相場に臨み時鳥様の仰る億万長者を目指
したいと思います。今回は本当に感謝いたしま
す。
renta様
ありがとうございます。こちらこそ恐縮です。
いつかrenta様が大きな富を掴まれ、
世のため、人のために大活躍なされることをお祈りしております。
時鳥