(午前0時の更新です)

トランプ政権の出す「超大玉」への「期待」もあって、

米国市場はじりじりと上昇が続いています。

一方、日経平均は「期待」と「不安」が交錯して、

先週以来の「気迷い」が継続しています。

トランプ氏が「あっ」と驚くような「玉」を出すのか、

出すにしてもいつ、どんな中身のものを出すのか、

米政府の高官達ですらよくわからないことですから、

日本人投資家の私達はひたすら待つしかありません。

もっとも、為替についてはFRBの議事内容次第で、

少し円安圧力が強まる可能性はありますが、

トランプ政権の望む為替水準がいまだ読めない以上、

為替が上下どちらに振れ、日経平均がどう動くかは、

まだ、正確に判断する材料が全て出ていないといえます。

「玉」が「期待」通り(もしくは「期待」以上)のものか、

あるいは「失望」を招くものか誰もわからないだけに、

現時点でのポジションはどうしても丁半博打になります。

さて。

全世界がトランプ政権の一挙手一投足に一喜一憂し、

また、欧州や東アジアの情勢を息を詰めてみていますが、

そうした世界的な喧噪とは全く「異なる次元」で、

必死の持久戦を続けている集団がいます。

日銀です。

「自由貿易か、保護主義か」

「国際協調主義か、自国第一主義か」

といった世界的な政策トレンドがどう動こうと、

そうしたこととは全く次元の異なるところで、

ただただ「長期金利をゼロで維持する」という、

まさに「異次元の金融政策」を強いられた経緯は、

「2016年総集編」等にリアルタイムに解説した通りです。

「長期金利をゼロで維持する」ということが、

日本と日本国民の富をどれだけ増やすかについて、

日銀は実際、ほとんど何も語っていないわけですが、

しかし、この先の見えない持久戦に失敗した瞬間に、

日本政府、日銀、日本国民にまんべんなく、

大きな悲劇が及びかねませんので仕方ないことといえます。

ただただ現状の維持だけに専念せざるを得ず、

ここからの緩和も引き締めも不可能になったところで、

黒田総裁らの金融政策は雪隠詰めになったわけですが、

肝心のインフレ目標が達成されていない以上、

官邸、というより総理自身が焦りを強めていくのは、

今後、当然に予想されていくことでしょう。

昨日も書いた「国内政局の台風の目」もあって、

「アベノミクスは失敗でした」とは言えませんから、

様々な方策を模索するのは当然ともいえます。

黒田総裁の任期もあと1年あまりとなり、

そろそろ「ポスト黒田」の話も取り沙汰され、

「ポスト・アベクロ(安倍・黒田)」の経済政策についても、

いくつかのアイデアを耳にするようになっていますが、

時折、官邸サイドから上げられる観測気球に対して、

日銀も財務省も総毛立つ思いを抱いているもののようです。

実際、元財務官僚の黒田総裁の「異次元緩和」であれば、

たとえそれが効果不明な「政策実験」であっても、

財務省の大方針と整合させて実施する余地はありましたが、

昨今話題の「シムズ理論」のような経済政策は、

日銀の努力を真っ向からかち合う可能性がありますし、

財務省としても到底、許容できない恐れがあります。

しかし、日銀や財務省が嫌がろうが何だろうが、

「政局」のためなら強行する意志と力を持っているのが、

安倍政権の特徴のひとつといえますから、

一応、注意して見ておくに越したことはありません。

新しい(?)経済政策が「救世主」なのか「妖怪」なのかで、

累次申し上げてきた日本と日本経済の超長期的な見通しが、

根本から変わる可能性は当然ながらあります。

次号メルマガ(第149号:2月16日)では私なりに収集した、

官邸、日銀、財務省などの情報を俯瞰した上で、

「ポスト・アベクロ経済政策」について考察します。

世界各地で風雲急を告げており、

また国内政局もキナ臭くなっていますが、

経済政策の路線変更をめぐる議論というもの、

なかなかスリリングなものになりつつあります。

いずれにせよ、要注意かと思われます。

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