日本市場、「黄金のシナリオ」の条件。
(午前1時の更新です)
昨日の日経平均は小幅な上昇で終わりました。
実際、あまりいい形の上昇ではありません。
前場でようやく跳ねるかと思われたものの、
後場にはまたずるずると値を消してしまい、
一昨日と比べてわずか6円ちょっと上で引けています。
クリスマスは終わったはずですが、
なかなか売買高が膨らんできません。
あと3日で「掉尾の一振」はまだあり得ますが、
やはり、政策「期待」で上昇するムードだけでなく、
政策「待ち」の雰囲気もじわりと広がりつつあり、
そこに、ともすれば「不安」の心理も見え隠れします。
「不安」を裏付ける具体的な材料が出たらアウトです。
それでなくとも、
前号メルマガ(第140号:12月25日)に詳述したように、
トランプ新政権のド派手な「玉」への「期待」と裏腹に、
そのド派手さの「副作用」もまた気になるところです。
実際、具体的な「玉」はまだ出ていませんが、
しかし、人事を見る限りおおよその検討はつきますから、
今後は「副作用」を指摘する人が増えるのは仕方ないところ。
特にトランプ氏の対中姿勢は気がかりですし、
中国側にもこれをやり過ごす様子は見えません。
昨日などはトランプ氏側の度重なる挑発に報いるべく、
中国側は空母艦隊まで繰り出して逆挑発しています。
トランプ氏も習氏もこうした駆け引きの達人ですから、
間違っても危険な全面衝突はしないとは思いますが、
しかし、こうした駆け引きが嵩じて制御不能になり、
「想定外」の悲劇に発展した事例はいくつもあります。
また、軍事的な全面衝突には発展しないまでも、
通商政策、通貨政策で米中はすでに正面衝突しています。
おそらく来年の世界情勢を分析するひとつの軸は、
すでに進行中のこの「米中角逐」になりそうですが、
日本経済が火の粉をかぶらずに済むかどうかは、
外交的に極めて高度な駆け引きが要求されます。
トランプ相場の余徳が波及してきたり、
日本独自の「玉」がうまくヒットしたりして、
日経平均が昨年の高値を大きく超える可能性は、
やはりあると私は考えていますが、
日本市場がそうした「黄金のシナリオ」となる条件には、
ずいぶん難しいものが並んでいます。
次号メルマガ(第141号:1月1日)では、
来年の上値と下値のメド、及びそれらの条件について、
現時点での私の見立てを書くつもりですので、
それらの事情を整理して述べてみたいと思います。
もうひとつ。
米国には来年の不透明要因がもうひとつあります。
金融政策です。
今年12月の追加利上げは「想定内」だったといえ、
年3回とされる来年の利上げペースというのは、
ちょっとした「想定外」であったために、
為替が急激に円安に振れたのはご存じの通り。
しかし、オバマ政権下で浮上した先々のシナリオが、
トランプ政権下でそのまま実行されるだろうと、
信じてよいとする根拠はひとつもありません。
前号メルマガで新政権の陣容を分析した際にも、
「人事が万事」と申し上げておりますが、
来年の米国の政策的方向性を占うにあたって、
最も気になるもののひとつがFRBの人事です。
トランプ氏及び政権移行チームの誰も、
この件についてまだ決定的な発言をしていませんが、
FRB人事について何か詳細に示唆する内容が出れば、
為替相場が動き、日経平均も大きく影響を受けそうです。
これもまた、日本市場の「黄金シナリオ」が成就するための、
極めて重要な条件になると思われますので、
何をどう見ていくべきか次号メルマガで考察します。
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