政府、メディア、アナリスト、証券会社を信じた結果。
今年6月頃からの上昇局面で、
私が政府の実弾投入によるPKO出動を指摘したのは、
だいたい14800円くらいの頃からでした。
その後、PKOの話はすっかり有名になり、
「15000円で出動」とか「15500円で防衛」とかいうことを、
一般投資家が言い出すようになり、
皆が安心して「投資」した結果、9月末の株高が演出されたわけです。
先週の予算委員会で政府側(塩崎大臣)が「PKOなどと根も葉もない噂」と、
薄ら笑いを浮かべて答弁をしていましたが、値動きをみたら誰でもわかります。
前場で大きく下げたら、後場で必ず日銀か年金の買いが入り、
V字チャートになって引けるのを毎日見たら、そりゃ、誰でも安心するでしょう。
「政府が守ってくれるなら、絶対、安心」と証券会社が煽るなか、
投資ビギナーさん達がNISA口座のお金で高値圏の株を買い始めたため、
「7年ぶりの最高値更新」という9月末の宴(パーティー)になりました。
しかし、突然に政府が「梯子を外し」てPKOをやめてしまったら、
あれよあれよという間に、暴落が始まったのです。
「7-9月期の景気回復」の演出が至上命題だった政府としては、
10月1日以降は株価がどんなに下がろうが知らん顔。
せめて15500円近辺でもう一度、二度くらいPKOを出動させていれば、
日経平均を16000円近くまで押し戻すことは十分に可能でしたが、
涼しい顔で「PKOなんかやってません」と言うとおり、動く気配はありません。
今回の暴落で大損をした人は可哀そうですが、投資はやはり自己責任です。
「2年で2%のインフレ」といった形の、正式なコミットメントならともかく、
その都度、その都度、ご都合主義で動く権力者を期待したのが間違いです。
悲しいかな、政権与党、政治家、役人にとって一番大事なのは、
いつの時代も「自分の地位」です。それ以外はどうでもいいのです。
煽られて、乗せられて、貴重な資金をつぎ込んだ個人投資家が、
資金を失おうとどうしようと、政府には預かり知らぬ話です。
もっとも私も、せめて臨時国会の予算委員会が終わる10月第2週までは、
政府がPKOを発動させて株高を演出する可能性があるとみていましたが、
「予測」を裏切って、カレンダーどおり10月1日でぴったり作戦を終了。
後は野となれ、山となれで、この暴落局面をただただ放置しています。
PKOで無理やり吊り上げてきた株価ですから、
PKOが終了すれば元の株価位置まで戻るのは当然です。
FXをやる人は、為替介入の際の値動きをご存じでしょうが、
日銀が為替介入(日銀砲)をやった瞬間から、数円程度は動きますが、
介入をやめたら、まず、間違いなく、介入前の値段に戻ります。
(政策協調に基づかない、「単独介入」の場合)
こういうお金は「行って来い」なのです。
そして、PKOや為替介入に投じられたお金(私たちの財産です)は、
残らずヘッジファンドが「おいしくいただく」ことになりますから、
権力者が、一時的な「政治的ポイント」を稼ぐための市場操作は、
邪道中の邪道として、古今東西、戒められてきました。
今回、安倍政権は、官邸にいる相場「操縦」師●●氏のもと、
あえてそれをやってきたわけですが、これをやらなくなったら、
日経平均株価が元の株価位置14800円を目指すのは道理というわけです。
(おかげで「売り目線」のヘッジファンドは大儲けです)
だから私は、この上昇局面の全てを、冷やかに眺めつつ、
失速して下落するたびに(メルマガで事前予告して)「売り」を入れ、
ことごとく「安心、安全、堅実」に勝利してきました。
6月以降、約1500円の上昇局面で、約1100円幅の利益を得たのですから、
まあ、上出来だったのではないでしょうか。
私が勝利した要因のひとつは、
政府、メディア、アナリスト、証券会社を、一切信用しなかったことです。
彼らのうち誰ひとりとして、個人投資家に利益を与えることで、
自分の生活を保障される人はいないわけです。
政府がPKOをやるのは、支持率と消費増税のため。
メディアが煽るのは、部数拡大や視聴率確保のため。
アナリストや証券会社が囃すのは、手数料収入と自社が売り抜くため。
この構図をみる限り、誰がどうみても個人投資家は「カモ」です。
だから、「PKOがあるから大丈夫だ」といった言葉には、
決して騙されてはいけないのです。
とりわけ、永田町にいると、「政府が助けてくれる」という考えが、
いかに甘く、アテにならないか、身に沁みてわかってきます。
政治家や役人の個々人の信条や良心はどうであれ、
「国家権力」という組織体になったらもう、自己保存が優先されるのです。
薬害問題、年金問題、原発事故の放射能情報、ゆとり教育などなど、
全てにおいて、「組織の論理」で「国家権力」が自らの保身を優先した結果、
国民は取り返しのつかない損害を負いました。人生を喪失した人までいます。
つい最近では、太陽光発電の固定価格買い取り制度があります。
「政府が買い取り価格を保証する」といって、
「1kwhあたり42円」というあり得ないような価格を提示して、
一般国民に太陽光発電への投資をさんざんに煽ったのはいいものの、
政権の風向きが変わると、当然のようにそれは反故になりました。
この「FIT政策」は、当時の民主党の支持率確保と延命のための政策であり、
経済合理性がなく、到底、持続不能なインチキな制度設計でしたので、
いずれどこかの時点で消えてなくなる運命だったのです。
退職金を全部つぎ込んだり、太陽光ベンチャーに情熱を燃やしたりという、
「意識の高い」(=お人良し)の人々がいくら怒号を上げても、
法律には「未来永劫、この価格で買い取る」なんて書いてありませんし、
書いてあったとしても改正法案を通せば一発で御破算になりますから、
やはり、「投資は自己責任だ」といって涙をのんで諦めるしかないのです。
(実は、当時、私のところにも太陽光発電投資の話がたくさん来ました。
地方自治体と組んでこれをやるベンチャーを立ち上げた友人からは、
熱心に誘われたりもしましたが、私は一切動かず、逆に警告をしました。
今となっては、もっと強く彼を止めておくべきだったと後悔してますが、
投資やビジネスでは「自己責任」が絶対原則ですから、仕方ありません)
政府がPKOをやめたとたんに風向きが変わり、
あれよあれよという間に、日経平均が14000円台まで下落しそうという、
この無情と非条理をみるにつけ、
「ああ、いつの時代も国家権力の本質は変わらない」とため息をつきつつ、
台風一過の青空を眺めております。
ただし、このカラクリがわかれば、投資家にとってはむしろチャンスです。
現在の下落局面は、世界的な景気調整という大きな圧力にも晒されていますが、
いつまでも下げ続ける相場はありませんし、
あまり下げると政権は「次の政治日程」を乗り越えることが困難になります。
例によってまた「組織の論理」を発揮して、株価上昇を演出するはずです。
そして、「国家権力」には、(一時的であっても)それをやる力があります。
前号メルマガ(25号:10月12日発行)で指摘したとおり、
安倍政権は、「世界的な景気調整」という逆風に対抗するべく、
幾多の「玉」を準備していますから、必ず「底」がやってきます。
そこが、千載一遇のチャンスです。
「時鳥軍団」は、株価が上げようが下げようが関係なく、
冷静に、淡々と、「安心、安全、堅実」なチャンスがくるのを、
ただひたすら待ち続けたいと思います。
それはずっと先かもしれませんし、意外に近いかもしれませんが、
いずれ必ず来るのですから、慌てず、騒がず、待つだけです。
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