(午前0時の更新です)

昨日の日経平均は大幅高の続伸。

海外の不安要因が後退したことや、

米国株の上昇という「追い風」などが、

日本市場の買いを誘った形です。

なんとか「戻り基調」になりつつあります。

日経平均が先週までの「株価位置」にいるのは、

本来ならば「あり得ない」ようなことですから、

先々週からの悪材料がいくつかでも和らげば、

買い戻しが広がるというのもよくわかります。

ただ、「あり得ない」ほど安すぎるわりには、

「戻り売り」の力もかなり強く働いています。

前場の早い時間帯につけた高値21971.16円から、

後場の安値21689.97円まで300円も押し戻され、

決して強気一本槍という展開にもなっていません。

なにしろ、昨日、財務省が国会に提出した、

「調査報告」の内容が想像を超えて悪いです。

先々週から朝日新聞が報道してきたものよりも、

はるかに大がかりで大量の「書き換え」です。

財務省による「価格交渉」があったことなど、

すでに判明している部分の「書き換え」事実も、

読めば読むほど戦慄すべき事柄です。

ただ、さすがに頭のいい財務官僚たちですから、

「改ざん」として刑事罰を受ける可能性を極小化すべく、

随所に予防線が張られた「調査結果」ともいえます。

本件に対する国会の追及は興味深いですし、

佐川氏はじめ誰かが「塀の向こう」に落ちるかどうか、

この後、あり得るとされる検察との「頭脳戦」の行方も、

かなりシリアスになることが予想されます。

ただ、昨日の大きなサプライズは総理夫人が、

土地売却に明確に「関与」していた事実が、

彼女の言葉に写真まで添えて記載されていたことです。

安倍総理はこの問題が持ち上がった当初、

「私と妻が関与していたらな総理も議員も辞任」と、

断言していたという経緯がありますから、

総理の政治的な責任が再燃するのは当然といえ、

国会が正常化する見通しは全く立ちません。

財務省から午後に「調査報告」が提出された後、

嫌気が差すように日経平均が売り圧力に押されましたが、

市場にとってもこれがプラスでないのは明らかです。

もっとも、政権は「粘り腰」の構えです。

麻生財相も「理財局の指示」と言い切り、

「財務省による犯罪」と定義し、突き放すことで、

安倍総理はおろか麻生財相も辞任を回避して、

政権の存続と延命をはかる構えをみせています。

勢いを取り戻しているとはいえ今の野党では、

内閣を倒すほどの力はないと見切ったのか、

この方針で国会運営も押し通すつもりのようです。

また二階氏はとりあえず「首相の三選支持」を明言し、

ひとまず世論の反応を見守る構えをみせています。

国会の空転と政治の混乱は長期化しそうですが、

政権もそんなに簡単には白旗を揚げるつもりはなく、

「反転攻勢」の時期を探る方針といえます。

ただ。

永田町の水面下ではもう「次」を視野に入れて、

与野党とも様々に動き出しているのは明らかです。

とりわけ与党内の各派閥の水面下の動きは

重大な結果を招く恐れがあるので要注意です。

前号メルマガ(第203号:3月11日)でも書きましたが、

野党を勢いづかせていることよりも、

与党に地殻変動を起こさせる効果のほうが、

当面、安倍政権にとっては重大事です。

最新の世論調査での内閣支持率の下落幅は、

懸念されたほどのものではなかったのが救いですが、

混乱が長期化してワイドショーでの露出が増えれば、

ボディブローのように効いてくる恐れがあります。

政権がすっかり体力を失いレイムダック化してもなお、

「首相の三選支持」を明言できる有力者が、

果たして何人いるかは疑問であるとしかいえません。

また日経平均は「戻り基調」とはいえ、

政治に「まさか」のことがあったならば、

市場にも大きな混乱が襲いかねません。

今日も国会が空転と混乱を続けるなか、

様々な政治ドラマが展開していきますので、

それらが相場に与える影響を踏まえつつ、

次号メルマガ(第204号:3月18日)で最新情報を踏まえ、

読者の皆様にまた詳しくお伝えする予定です。

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