「新しい世界」の到来。
昨日の日経平均は大きく反発。
日経平均だけでなく、
米国株も、また、為替や金価格も、
米朝の軍事衝突が回避されつつあるとみて、
「安心」が広がっていることを示しています。
内外の状況が「波静かで穏やか」になれば、
前号メルマガ(第177号:9月10日)で示した、
例のラインあたりまでは戻すはずです。
どうもひとまず危機が去りつつあるようで、
投資家としてはなんとなく「安心」する反面、
一個人としては複雑な気持ちになります。
米朝の角逐は今、国連が「主戦場」ですが、
昨日、伝わってきたニュースによれば米国は、
「これがあのアメリカ合衆国か」と驚かされるほど、
腰が砕けた制裁案の提示を余儀なくされており、
かつての覇権国の姿は見る影もありません。
先週までの威勢の良さから一転して、
ロシアや中国に配慮に配慮することになり、
切り札のはずの「公海上の臨検」が消えた上、
目玉だった「石油の全面禁輸」が取り下げられ、
何をどう圧力をかけるのかわからない制裁案を、
米国のほうから提示してきたようです。
「これで北に入る石油は3割減る」と、
米国側は見積もっていると聞きますが、
北が「石油の3割減」くらいで核を放棄すると、
米国自身も真面目に考えてないでしょうし、
ロシアや中国が制裁の内容を誠実に履行し、
北に流入する石油の量を絞ってくれるとも、
当の米国自身も真剣に考えてはいないでしょう。
つまるところあれほど拳を振り上げたのに、
結局、なんにもできないまま終わりそうなわけで、
安保理の制裁決議の内容がこの程度ということは、
北の核は事実上、「容認」されたことになります。
米国の威光に「期待」した日本としては、
どうも梯子を外された格好といえますが、
今やロシアや中国をねじ伏せて、
やりたいように振る舞う力など、
米国にはもはや残っていません。
今回の一連の北朝鮮クライシスは、
北朝鮮の金正恩体制が滅ぶか、
米国の覇権が事実上、消滅するかの、
どちらかがゴールになるだろうと申し上げましたが、
どうやら状況は後者のほうに向かいつつあります。
もちろん、北朝鮮と米国が明示的に「手打ち」をして、
核保有や軍事侵攻について何かの確約をされるまでは、
「危機」はまだ去ったとはいえません。
この9月にも「Xデー」の候補日はまだ残っていますし、
北朝鮮が考える来年のあの「計画」が実施されるなら、
米国がどんなに腰が引けても大乱の発生が予想されます。
次号メルマガ(第178号:9月17日)では、
米朝のパワーゲームの「次の焦点」を分析しますが、
いずれにせよ日本にとっては今までとまるで異なる、
「新しい世界」が到来しつつあることは、
どうも間違いないと言って良いのではないでしょうか。
好むと好まざるとにかかわらず、
日本はこの「新しい世界」で生き残る必要があります。
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