「集団的自衛権の行使容認」に舵を切った安倍首相をめぐり、

水面下でいろいろな動きがあることは、

メルマガやこのブログでも触れていますが、

15日の記者会見から今日までの動きをみる限り、

政権側が状況をグリップしています。

「抵抗勢力」が手を出せない理由はいくつかあります。

ひとつは、ベトナムと中国です。

このタイミングで南シナ海で紛争が発生したのは、

政権にとってまさに僥倖としかいえません。

ベトナムやフィリピンが安倍首相の決断に対し、

熱烈な支持を表明していることが追い風になっています。

その意味で、安倍政権は明らかに何かを「持っています」。

ふたつ目は、メディア・コントロールに成功したことです。

消費増税の際と同じ「ある手口」で大新聞とテレビを封じたうえ、

タイミングよく、大物芸能人の覚醒剤事件が「発生」しました。

昨日、あるメディアの大物に聞きましたが、

政権に不利な状況が発生すると、

芸能スキャンダルが飛び出して、

世間が大騒ぎになるのはよくある話です。

覚醒剤逮捕など、いつでもできたことが、

「偶然」にも、この時期になされた意味を考えるべきです。

みっつ目は、官邸の戦術です。

安保法制懇が出した報告書を実際に読むと、

「外国を助けるために自衛隊を海外に送るべし」

「日米同盟のために自衛隊は外国で戦うべし」と、

はっきりと書いてあります。

しかし、安倍首相はこの報告書をその場で「否定」してみせ、

外国での法人救助に限定するかのような印象を与える、

非常に感情に訴えかける記者会見に終始しました。

とはいえ、実際の「集団的自衛権」の中身は、

これから政府で決めるわけですから、

おそらくは報告書の中身が色濃く出された内容になることでしょう。

しかし、国会が終わり、内閣改造だの何だので皆の意識が散るころ、

本当の政府決定がなされたところで、もはや国民は気づきません。

場合によっては、政権の足下をすくかねない問題でしたが、

週末をはさんで記者会見から5日間の状況は、

安倍政権にとってパーフェクトな形で進んでいます。

メルマガ(第4号:5月18日)では詳しく書きましたが、

現時点では、安倍政権の指導力は株価と直接的に連動しています。

このまま、安全保障問題の泥沼に足をとられなければ、

夏から秋にかけては期待できる展開になりそうです。

ただ、このところ少し、海外投資家が安倍政権のマッチョぶりを、

「リスク」だとみなす動きがあるのが気になります。

与党内の抵抗勢力や弱小野党群は、

「解散カード」などいくつもの大技で撃退可能ですが、

海外投資家との間には、特別な対話機能が必要になります。

政策的な「玉」がうまく機能し、

5月、6月にかけての大荒れをうまく乗り越えたとしても、

その先に相場を急落させる落とし穴はまだあることを、

決して忘れることなくポジションをとる必要があります。

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