「危機」の予兆なれど官邸は健在。
昨日の日経平均は大幅安。終値でも19000円割れです。
日米の政治リスクがここまで炎上したことで、
市場参加者のマインドが冷え込んできました。
前号メルマガ(第153号:3月26日)に書いた通り、
特にオバマケア代替案をめぐっての、
トランプ政権の政治的敗北は大きいです。
「トランプ相場」の大前提が狂うかもしれない状況では、
積極的に株を買いたいという人は限られてくるでしょう。
トランプ政権が本当に「玉」を出せないとなると、
昨年11月以来の「期待」での上昇分が巻き返してしまい、
米国市場の急落ぶりは悲惨なことにもなりかねません。
これこそが私が今年の初めから最も警戒してきた、
今年前半までに想定される米国発の巨大リスクのひとつです。
(今年後半以降にはまた別の巨大リスクが「噂」されています)
トランプ大統領がこの難局を乗り越えることができるか、
ここ数週間の攻防で決まりかねないだけに、
市場はどうしてもナーバスになってしまっています。
安倍政権も「政治案件」としての森友騒動の鎮火に手間取り、
手元のカードが制限されてしまっています。
安倍政権の支持率が横ばいであると一部メディアが報じ、
与党支持者はちょっと安心しているようですが、
各社の調査結果にはかなりのバラつきがあり、
他の与党系メディアは支持率低下を報じていますし、
各政党が行う調査結果の内容を漏れ聞く限り、
政権側は決して油断できない状況にあるようです。
これが「政治の怖さ」「相場の怖さ」といえます。
日本企業の業績はそれほど悪くならないと言われ、
1ドル110円くらいなら「想定の範囲内」ですから、
あくまで業績ベースで考えていく限りは、
まだまだ上昇余力が残っているといえるはずですが、
ひとたび米国の大統領も日本の総理大臣も、
どちらも権力基盤が足元から危ういとなれば、
瞬時に大崩落する恐れがあるわけですし、
そうした政治的リスクは「駆け引き」の結果である以上、
政治家本人にも予測するのが困難なところがあります。
ただ、私の聞くところ安倍政権はなかなかしたたかです。
昨日、来年度予算が成立し、今国会は後半戦に入りました。
今週以後の焦点は「法案審議」か「解散総選挙」かですが、
政権側は限られたカードを有効に使って、
形成の逆転をはかるシナリオを模索しているようです。
こと「国会内」での争いとなれば、
政府・自民党は民進党らの野党と比べても、
まだ豊富な政治的資源を持っていることも事実です。
安倍政権にも「危機」の予兆が漂ってはいますが、
少しく誤算が続いたとはいえ官邸の機能はまだ健在です。
(逆に言うと官邸の機能が喪失または制限されれば、
安倍政権とはいえ即時崩壊の恐れが常にあります)
官邸は今、必死でクライシス・マネージメントを続け、
最大限のダメージ・コントロールをはかっており、
対野党、与党間、そして与党内と3つのレベルで、
あの手、この手の策を仕掛けています。
例の「共謀罪」の審議に絡めても、
いくつか新しい情報を耳にしましたので、
次号メルマガ(第154号:4月2日)で書きます。
米国、欧州、中国とまんべんなく「危機」はあっても、
結局のところ日本市場がどうなっていくかは、
まず、イの一番に政権の存立基盤にかかっています。
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