あえていうなら、ここしばらくは「売りのホトトギス」。
安保法制が委員会を通過。今日、本会議採決です。
安倍政権の支持率がどこまで下がるか予測はできませんが、
秋にかけて何らかの手を打つべき局面なのは間違いありません。
早くも永田町は「次の奇手・奇策」の「噂」で持ちきりです。
(この話は次号メルマガに詳しく書きます)
一方で、何ごともないように日経平均は上昇しています。
「上昇圧力」の正体はメルマガにたっぷり書いていますが、
「2つの条件」が揃えば「日本株独歩高」も不思議ではありません。
ただし、それで「買う」のがいいかどうかは別の問題です。
先週末、山崎種二氏の半生記を読み返しました。
城山小説(「百戦百勝」)のモデルとなった「売りのヤマタネ」は、
山種証券(現SMBCフレンド証券株式会社)等を創立し、
現在も山種美術館にその名を残す実業家でもある、
相場をやる人なら誰でも知っている「伝説の相場師」です。
相場の世界で一時的に脚光を浴びた相場師はたくさんいますが、
晩年も豊かに暮らし、次世代まで莫大な富を継承した人は、
非常に珍しいですので、私はそうした人を研究しています。
ネット上でも途中で大損して更新が停止されているような、
サイトやブログをしょっちゅう見ますが、
そうなっては相場なんか最初からやらないほうがマシだからです。
さて。
その「売りのヤマタネ」は、上昇相場では小さくサヤ取りに徹し、
手堅く、堅実に小さな利益を積み上げていたそうです。
そして、相場が過熱すると出動し、名だたる買い方に立ち向かい、
売りで大きく勝負をかけ、百発百中で勝ったそうです。
古今東西、相場も政治も常に「先のことはわからない」ため、
ある水準から上に上がるかどうかは常に「丁半博打」ですが、
「上がり過ぎた」ものは「必ず」下がります。
「相場がうまい人は売りばっかり」というのは、
ヤマタネ氏の足跡をみても納得できます。
ただ、山種氏は晩年、「買いのヤマタネ」に変貌しました。
戦時中の統制、そして敗戦によって、
日本の株式市場は火が消えたようになり、
有望企業の株価は保有する資産価値を大きく下回り、
二束三文で叩き売られていたからです。
この時、ヤマタネ氏は人生最大の大勝負に打って出ました。
自民党の大物福田赳夫や学界の大御所高橋亀吉氏まで動員し、
日本株は「宝の山」という大キャンペーンを張りつつ、
株を買って、買って、買って、買いまくったのです。
晩年に叙勲(勲二等旭日中綬章)したほどの巨大な富は、
こうやって築かれたというわけです。
私の「時鳥トレード」もこの考え方を取り入れています。
「異常値」になれば必ず「正常値」に戻す働きがありますから、
相場全体が「異常値」だと思ったときだけ出動するわけです。
ただ、この「異常値」の判断が難しい。
「売りのヤマタネ」はその前半生に米相場で身を起こしましたが、
米問屋の丁稚奉公からはじめた山崎種二氏は、
田んぼから米粒まで、細かいことを知り抜いていました。
5月の雨模様をみては秋の収穫量をおおよそ予測でき、
掌で米粒をにぎってどこの産地か言い当てるだけの「眼力」を、
米相場の値付けの判断に活かしていたのですから、
確かになまじの素人では太刀打ちできません。
ヤマタネ氏はこの「眼力」を「そろばん」と表現しています。
私がこのブログを「日経平均」という「銘柄」に特化させているのも、
まあ、言ってみれば同じ理由です。
私がアクセスできる政界情報は他の人とは段違いですから、
少なくとも「隠れた危険」を人より多く発見できます。
こうした「眼力」によって、私自身の「そろばん」をはじき、
今が「正常値」なのか「異常値」なのかの「水準」を判断しています。
私も、リアルタイムで行われるこの「実験劇場」において、
過去に「反発する」「反落する」と判断した局面は百発百中ですが、
私の場合も、内外の大学院で学んだ経済学や経済政策の知識よりも、
永田町界隈で感じる「空気」のようなものが相場では役に立ちます。
丁稚奉公で体で覚えた「経験値」のようなものはバカにはできません。
ところで、なぜ「売りのヤマタネ」の本を読み返したかというと、
「もし、山崎種二氏がご存命だったとして、
不安をはらんだこの株高相場で買ったかどうか」
ということが気になったからです。
私自身の「水準」に照らせば、日経平均にはまだ上昇余地があり、
まだ「過熱」「異常値」といえるほどではありませんが、
だからと言って「買う」材料があるのかどうかというと、
ちょっと腕組みをして考えてしまいます。
ギリシャ危機と中国危機の連続で株価が19000円直前まで行った際、
「人の行く裏に道あり花の山」
と強気、強気でけしかけている人もいますが、
しかし、19000円というのは2年半前と比べて1万円以上も高いのです。
この株高局面をもたらしている「前提条件」がひとつふたつ消えれば、
あっという間に数千円崩落してもおかしくはない株価位置です。
「まさか」と思うようなことが発生したときに、
強気、強気の人々はどの時点で方針を転換されるのか、
純粋に好機心的な意味で聞いてみたい気もします。
昔、(検証したら必ずしもそうではありませんでしたが・笑)
「株は3年、不動産は5年、景気は10年のサイクル」
と聞いたことがあります。
昨年までは、アベノミクスによるさらなる上昇が高い確率で予測され、
「時鳥トレード」も押したところを買って利益を重ねてきました。
しかし、今年初めの突っ込みを最後にして、
株価位置がある位置に達してからは、
私は一度も「買い」を入れることなく、
「過熱感」が出てくるのを待って、ただ「売り」に徹しています。
あえていうなら、ここしばらくは「売りのホトトギス」です。
無論、「伝説の相場師」山崎先生と私では月とすっぽん以上の差があり、
こうして対比して書くのは非常に失礼なのは承知していますが、
今、「売りのヤマタネ」氏が生きておられたとしたならば、
この状況で株を買われただろうかと考えてはしまいます。
永田町を歩いていると、すでに「空気」はすっかり変わってしまい、
あとは「きっかけ」待ちのような気がしてはいるのですが、
その話はまた次号メルマガ(第65号:7月19日発行)で。
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