米国にとっては、中国よりも北朝鮮?
オバマ大統領が来日。
朝にも少し書きましたが、
日米両政府の間では非常に重要な交渉が進行中です。
ずばり「戦争」です。
といっても中国との戦争ではありません。
中国共産党は(ああ見えて)きちんと戦力計算をしますから、
中国がアメリカに挑戦してくるにはたぶん10年はかかると
米国はみてます。
もちろん、その前に日本に突っかかってきたり、
フィリピンやベトナムの領土を掠め取るくらいはやるでしょうが、
米軍との正面衝突は慎重に避けるでしょうし、
それをやるだけのホットラインはDCと北京の間にあります。
米国としては、むしろ、安倍政権が中国を挑発することで、
想定外のシナリオで「日中紛争」に巻き込まれることを警戒しています。
昨年末の首相の靖国参拝への、
過剰ともいえる米国の反発はそれです。
もちろん、もし、日中衝突から米中が相まみえることになっても、
海空戦力では日米同盟が圧倒していますので、
まず負けることはありませんが(秒殺できる)、
衝突が引き起こす世界経済への破滅的な影響のほうを、
より心配しているようです。
ところが、北朝鮮は別です。
米国は近いうち(数年以内)の崩壊は不可避とみており、
金王朝消滅の前後に何が起きるのかを警戒しています。
(旧)北朝鮮の処理にしても、
韓国による併合か、
中国による保障占領かで、
米国の東アジア戦略はまるっきり変わりますから、
「大嫌い」な陸上派兵を行う必要も出てくるかもしれません。
場合によっては、「第1次」朝鮮戦争のときと同じく、
38度線の北で中国人民解放軍と衝突するシナリオすらあり得るのです。
中国と違って、金王朝と理性的な対話は成立しないとみている以上、
米国としては、いずれ「けじめ」をつける準備をせざるを得ませんが、
人命と資金のコストはなるべく少ないほうがいいというのが本音です。
そこで出てくるのが日本です。
1997年のガイドライン(日米防衛協力のための指針)以降、
自衛隊は、周辺事態等に対応した「後方支援」はできるようになりましたが、
「そこからもう一歩進めて欲しい」というのが米国の「要望」です。
実は、今年2月半ばから新ガイドラインを策定する作業が、
日米当局の間で始まっています。
防衛省中枢にいた人が言うには、
「日米同盟を根本から再設計する作業」とのこと。
はっきりとはここで書けませんが、
半島有事、あるいは台湾有事の際に、
自衛隊には後方ではなく、
「戦地」に来て欲しいというのが米国の「要望」です。
安倍首相は「集団的自衛権行使」に前のめりですが、それは、
「米国を狙ったICBMが日本上空を飛ぶのを撃ち落とす」とか、
「公海上で自衛艦と併走する米艦を防護する」とかの
非現実的なシナリオのためなどでは決してありません。
(対米ICBMは北極圏経由ですし、併走する米艦は水平線の彼方)
こうしてみると、なぜ、オバマ大統領がわざわざ仲介し、
安倍首相と朴大統領を引き合わせたかがおわかりいただけるでしょう。
ここ数日、有事において自衛隊が半島に駐屯する話などが出始めましたが、
今回のオバマ訪日の「肝」は、TPPではなく、このあたりにあります。
難しいのは、
米国は、「日本は中国との衝突を避けて、半島有事には来て欲しい」と望み、
日本は、「米国に中国との衝突の際には助けて欲しいけど、半島には行きたくない」と思う、
本音ベースの食い違いをどうすりあわせるかという点ですが、
日米両国とも、お互いなしでは国家の存立すら危ぶまれる状況ですので、
ほどなく新ガイドラインは策定されるでしょう。
それが確定的になるのが、今回のオバマ訪日であり、
首脳会談で「日米同盟再設計」の方向性が確定すれば、
それにしたがって、政治も経済も全部が動き出します。
相場に関する影響をいえば、
朝書いたように、中国絡みの地政学的リスクがずいぶん後退することで、
明日にでもあると思われていた「尖閣侵攻」の可能性が低くなったと見なされ、
靖国参拝以来、日本市場を覆っていた重苦しさはずいぶん解消されるでしょう。
円安政策への反発が当面、緩和される意義も大きいです。
しかし、その後、朝鮮半島絡みの話題が、
次第次第に相場を揺さぶるようになるのではないでしょうか。
明日、明後日の相場の話ではなく、
むこう半年とか、数年単位のことですが、
投資家の皆さんは一応、アタマに入れておいたほうがいい話だと思います。
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