世界の景気後退観測と、内政・外交の「重要カード」。
先週はじめまで22000円台をキープし、
ここを守り切るかが注目された日経平均でしたが、
週の半ばで発生した「アップルショック」により、
世界同時株安となるのに「連れ安」をして、
21000円台半ばまで下げてしまいました。
アップルやゴールドマンサックスといった、
個別企業の業績がきっかけになりましたが、
しかし、それで市場全体が下げたのは、
やはり世界経済をまんべんなく覆う形で、
景気後退への不安が広がりつつあることが、
大きな背景要因として挙げられます。
前号メルマガ(第239号:11月18日)で述べましたが、
「米中対決」は中国側が頭を下げる形で、
いったんは「手打ち」に至る可能性があり、
ある時期を目途に相場が巻き返すことは、
十分にあり得るものと考えますが、
いったん「手打ち」になったからといって、
そこで対立が緩和されるとは、
到底、思えないことは否定できません。
欧州は欧州で来年の政治日程を考えると、
より深く強い混迷があり得ると警戒され、
これまた市場の買い意欲を削ぐことも、
前号メルマガで詳しく述べたところです。
そんななかで安倍政権は内政・外交の両面で、
株高圧力を創出し、来年の参院選を勝利を期し、
政権の存続と延命をはかっていることも、
前号メルマガで詳しくお伝えした通りです。
新閣僚への攻撃や、「保守層」の離反など、
足元では不安要因が燻っていますが、
内政では「移民法(入管法改正)」で、
そして外交ではついに「北方領土問題」で、
国策を大転換させる重要なカードを切りました。
どちらも、経済効果、株高効果が高く、
純粋に日本経済、日本市場にとっては、
プラスの要素が大きい「玉」ではありますが、
問題はこれに伴う政治的なハレーションを、
安倍政権がしのぐことができるかどうかです。
「移民法」の趣旨に賛同する国民が多くても、
臨時国会で「抜け」や「穴」が目立ち過ぎれば、
安倍政権には強い「逆風」が吹き荒れ、
「今国会での成立」は厳しくなります。
北方領土の「二島返還プラスアルファ」が、
もはや安倍政権のベストであるといっても、
外交的には「後退」もしくは「敗北」として、
いわゆる「愛国者」は政権を批判しています。
どちらも「賭け」の要素が濃いことは、
政権中枢も最初からわかっていたわけですが、
しかしこの「賭け」に打って出る以外、
あまり選択肢がなかったことも否定できません。
今週、「外交戦」から一時帰国した総理らが、
内政・外交の両面で切ったカードの影響を、
主に国内世論の動向からどう判断し、
どう対処していくかによって、
来年にかけての政権の未来が定まります。
その意味では今週もまた、
かなり重要な真剣勝負が続きますし、
日経平均への「底支え圧力」の如何も、
これに連動すると思われますので、
政界からも市場からも目を離せず、
アンテナを鋭敏にしておく必要があります。
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