「シナリオの狂い」と政権の苦境。
(午前0時の更新です)
昨日の日経平均は大幅な続落。
GW連休明け以降の比較的、平穏な空気が一転し、
内外とも波風が高くなってきました。
北朝鮮情勢が不透明となり、為替が円高に振れ、
これが日経平均に下げ圧力を与えています。
もっとも、すでに発火中の中東情勢を考えると、
朝鮮半島で本格的な軍事的危機が高まるとは、
ちょっと考えづらいところではあります。
米朝双方とも強硬発言を繰り広げているのは、
自身の取り分を大きくすることを目的とした、
「事前交渉」の一環だろうと考えられます。
たとえ米朝首脳会談が延期になったとしても、
一気呵成に軍事衝突となるとは限りませんので、
「地政学リスク」が再燃すること自体は、
まだそれほど心配すべきとは思えないところです。
しかしながら。
日本にとっては別の意味でインパクトがあります。
実際、北朝鮮が態度を硬化させるということは、
安倍政権にとっては極めて不都合な話です。
当面、「神風」が吹く見通しがないとなると、
政権が狙う6月以降の「反転攻勢」の戦略は、
根本から見直しを迫られかねないところです。
また、今週がひとつの「ヤマ場」だった国会で、
安倍総理は明確に苦境に立たされました。
国会は衆院で与野党が正面衝突の真っ最中ですが、
先週末までの与党側の強気ムードがだいぶ後退し、
野党のほうに分がある展開となっています。
政権にとっては「想定外」が相次いでいます。
例の新しい「愛媛県文書」も衝撃でしたが、
昨日、財務省が提出した一連の文書は、
その多くが「黒塗り」であったとはいえ、
500ページどころか数千ページという、
極めて衝撃的なものであり、
野党どころか与党の人々まで呆然とさせました。
内容的にもかなりまずい部分があるようです。
「黒塗り」になっていない開示箇所のなかには、
いくつか看過できない「爆弾」が散見されるといいます。
麻生財相の責任問題の再燃は不可避ともされ、
何より総理夫人の「関与」に再び焦点が当たります。
さらに昨日は防衛省も日報データを提出しましたが、
こちらのほうも目が回るほどの大量です。
小野寺防相には怒りと焦りが濃いとされますが、
こちらも政権として説明責任があるところであり、
結果に対する政治責任の議論も再燃しそうです。
これで予算委の開催を拒否するのは不可能ですので、
来週は総理の嫌がる予算委の集中審議が入る上に、
党首討論(QT)の開催もあり得る状況と聞きます。
予算委とQTが同じ週に開かれるのは異例であり、
野党にとってはこの時点で「満額回答」といえ、
政権側の苦境が印象付けられるところです。
一回の集中審議やQTでパチリと追及をかわし、
残り会期を法案審議に集中できればよいですが、
複数回、予算委やQTが持たれる恐れもあります。
やればやるほど辻褄が合わなくなってきてますが、
当然ながら永田町も市場全体も、
総理が直接追及を受ける機会が増えれば増えるほど、
「まさか」への警戒を強めることになります。
重要法案の審議についても野党が攻勢に出ています。
昨日、強行的な採決が予定された「働き方改革」も、
野党が提出した委員長解任動議で阻止されてしまい、
法案の衆院通過はかなりズレ込みそうな雰囲気です。
今後、たとえ参院の野党が政権に全面協力をしても、
この段階での審議遅れはいかにも痛い話であり、
会期延長なしで国会を閉じるという政権側のシナリオは、
どうも狂いを生じつつあるようにみえます。
ひとつの「ヤマ場」だった今週の国会が、
政権側にあまり望ましくない形となったことは、
外交面での進展と成果の具合ともあいまって、
夏にかけての株価シナリオ全般に、
大きく影響を与えかねないところです。
いずれにせよ週末にかけての動きをよく見極め、
政界と市場の今後の展望について、
次号メルマガ(第214号:5月27日)で分析します。
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