「神の一手」か。「終わりの始まり」か。
黒田総裁の「大ばくち」である「マイナス金利」について、
週末の間、あちこちで喧々囂々の議論が交わされました。
2013年4月に「異次元緩和」に打って出た時も大騒ぎでしたが、
今回のマイナス金利はそれ以上の論争を引き起こしています。
なにしろ、「異次元緩和」を遂行中に「マイナス金利」をやるなど、
前例もないし、実務的、学問的な確固たる検証もないのです。
もしかしたら、これが「神の一手」なのかもしれません。
20年続いたデフレ不況を吹き飛ばし、
日本経済を力強く復活させる特効薬となるなら素晴らしい話です。
当然ながら黒田総裁率いる日銀は、
悪い流れを吹き飛ばすために大きな賭けに出たわけです。
「マイナス金利」が「神の一手」ならば、
それは世界の金融・経済の教科書を塗り替える画期的なことです。
しかし、これは「終わりの始まり」なのかもしれません。
「マイナス金利」まで実施してもなおデフレが続き、
日本経済が一向に景気回復しないことがはっきりしたら、
もう完全に「日銀は手詰まり」と判断されてしまいます。
どこかの時点で、これまでのじゃぶじゃぶマネーが巻き返し、
世界中を巻き込む、途方もない悲劇が発生する恐れすらあります。
甲論乙駁。権威ある専門家が正反対の意見を戦わせていますが、
つまり、黒田総裁は誰も正確なことがわからない「賭け」に、
日本と日本人全体の財産を投げ込んだわけです。
しかし、いくつかはっきりしていることがあります。
ひとつは、3年間の「異次元緩和」だけでは、
結局、デフレ退治も景気回復もできなかったということ。
これは、10年も前に日銀自身の研究で出された「結論」を、
黒田総裁が壮大な「実験」によって検証したことを意味します。
「失敗は消費増税」とか「中国バブル崩壊のせい」とか、
いろいろな「言い訳」ばかりたくさん出てきますが、
「異次元緩和」で円安と資産バブルこそ発生したものの、
肝心のインフレ目標には3年経ってもかすりもせず、
物価高のなかで、実質賃金も実質消費も減るという、
国民にとって恐ろしい現実が進行中であることははっきりしています。
もうひとつは、世界経済に大きな危機が迫っているということです。
というより、すでに危機に突入しているというべきか。
昨年の秋、世界のあちこちで「危機シナリオ」が取り沙汰され、
株高が崩壊し始めた頃になってもまだ、
「これから大相場が始まる」と強気の買い推奨をする人がいましたが、
実際には見てのとおり、日銀総裁も認めざるを得ないほどの、
大きな嵐によって世界市場はさんざんに攪乱されています。
中国不安、中東危機、東アジア危機、米国景気減速懸念など、
いくつもの危機が持ち上がっていますが、
それらのうち、現時点で解決が確認されたものは何一つなく、
日銀は予防的措置としての「マイナス金利」に追い込まれました。
「マイナス金利」導入で日経平均は大変な乱高下に見舞われましたが、
一応、先週末の時点では世界がこれを好感しており、
株価は「ど真ん中」近辺までは戻しています。
さて。この後、どう動くのか。
ひとつ言えるのは、このように「予測不能」な状態こそが、
古今東西、相場の本質的な姿であり、
その「予測不能」ななかで生き残り、富を増やすことが、
投資をやるそもそもの目的だということです。
前号メルマガではいくつか投資アイデアに言及しましたが、
読者の皆様が生き残り、やがて大きな富を掴まれるよう、
次号メルマガ(第94号:2月7日発行)でもより詳細に、
「量的緩和+マイナス金利の世界」を分析したいと思います。
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