今国会が始まる前、永田町でこんなジョークが囁かれていました。

「次の国会では政府・与党は2つのTPPに悩まされる。

ひとつは環太平洋パートナーシップ(TPP)。

もうひとつは高木・パンツ・プロブレム(TPP)。」

あまり笑えないダジャレでしたが、

昨日、補正予算が成立して「事実上の臨時国会」が終わり、

いよいよ政府4演説で「事実上の通常国会」が始まる矢先、

環太平洋パートナーシップをただ一人で体現する男・甘利大臣に、

金銭授受のスキャンダルが突如浮上、爆発しました。

国会の慣例上、大臣の身辺に疑念がある状態では審議が行われません。

証人喚問や参考人招致などで、一連の「説明責任」をクリアしない限り、

予算委員会はじめ、全委員会はストップします。

「金銭授受」の証拠がはっきりしている以上、

「政治資金不記載」で終わるのか、「口利き」による収賄になるのか、

どんな「説明責任」が果たされるにせよ、国会は荒れます。

昨年秋からの改造内閣ではまだ辞任閣僚が出ておらず、

第3次改造安倍内閣はまだ「ノーアウト」ですので、

通常なら、健康問題などを理由に大臣を早期に更迭して、

国会の混乱を最小限にとどめるという方法もあります。

しかし、今回の場合、問題なのは甘利大臣その人だけが、

TPPの交渉および合意の全容を知る人物だということです。

甘利氏の答弁なしでTPPの審議をするなど「想定外」ですので、

与野党ともに今国会の審議日程の見立てが大混乱に陥っています。

たとえ、甘利氏が「シロ」だったとしても国会の大混乱は必至。

本予算をはじめ全法案の審議に重大な影響が生じます。

甘利氏が「クロ」ならばTPPそのものが吹き飛ぶ恐れがあります。

これが何を意味するのか。皆さまも背筋が寒くなる思いでしょう。

昨日のお昼に配信した臨時配信メルマガで詳しく書きましたが、

朝から永田町はどこに行ってもこの話題で騒然とした雰囲気になり、

それにしたがって日経平均株価も大暴落を続けました。

メディアは昨日の暴落の理由として中国不安や原油安を挙げてましたが、

上海市場はたいして下げず、原油が急速に突っ込んだわけでもないのに、

ひとり日本市場だけが大暴落をしてしまったのです。

(前日のナイトセッションで17200円付近だったのが24時間で15930円まで)

海外投資家にも、「アベノミクス」という言葉は安倍・黒田両氏に加え、

甘利明の名前とともに記憶されています。

内外の機関投資家は当然、昨日朝の時点でこの「噂」に接しましたので、

一斉に資金が引き上げられたのは、ある意味で仕方ないといえるでしょう。

それゆえ、「押し目」と思って買いを入れる方が大けがをしないよう、

私も事実確認をして後、午前中に短く概要だけをツイートして、

お昼の時間に詳しい臨時配信メルマガを発刊したという次第です。

この後、いったい何が起きるのか。

永田町はまだ騒然としていますので、情報をよく整理して、

次号メルマガ(第92号:1月24日発行)で私の見立てを述べます。

甘利大臣の件は「秘書がやった」で済まないだけに、

安倍内閣の存続にすら影響を与える可能性も否定できません。

同じタイミングで世界のマーケットも「弱気相場」入りし、

相場環境はまったく様変わりしてしまいました。

昨年秋から私が「冬ごもり」の準備を進めてきたのは、

こういうことがいつ発生するかわからないとみたからであることは、

読者の皆様はよくご存じのとおりです。

思ったより早く「想定外」がやってきた形ですが、

甘利大臣の件はこれを仕掛けた筋がいるとも囁かれていますので、

それも含めて、次号メルマガで分析します。

「誰が微笑んでいるか」がわかれば、

「この後、何が起きるのか」の見立ても容易になるかと思います。

なお、別の意味でひとり微笑んでいる人物がいます。

高木大臣です。

ベッキーとSMAPと甘利氏のおかげで、

みんな、彼の「パンツ窃盗疑惑」のことなど忘れてしまっています。

(もちろん、高木氏が仕掛けたわけではないでしょうが)

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