日経平均は先物ナイトセッションで2万円を突破しました。

日中でも、寄付前後から「日経平均2万円」を突破しそうな勢いです。

これで、「政治的ターゲット」の達成が、

統一地方選(前半)の投票日である12日に間に合ったことになります。

金曜日の今日、日経平均2万円に到達すれば、明日、土曜日の朝刊の見出しになります。

そして、日曜日が統一地方選挙(前半)の投票日ですから、ある意味「お見事」。

永田町というのは、「朝刊、夕刊の見出し」、「お昼、夕方の情報番組」を、

異常なくらい気にしているものです。

この点、安倍政権は官邸主導で徹底的に報道をコントロールしようとしています。

選挙戦が始まっても、産経、読売、日経3紙は政権礼賛報道を続けていますが、

見事なタイミングで、「最大の目標」である株価を到達させるのであれば、

やはり官邸の「軍師」と「相場師」の力量は侮れません。

もっとも、この上昇には運も味方しました。

今週はじめのNY市場で潮目が変わったからです。

「5頭のクジラ」と言われる「官製相場」の買い支えが効いてはいますが、

米国市場が崩れかけていた頃は、政府PKOも下値を支える働きにとどまっており、

19500円を超えてまで積極的に上値をとる展開にはなりづらかったものです。

しかし、米国雇用統計の結果を受けて「利上げ先送り観測」が台頭するや、

日本市場の前提条件もガラリと変わり、今週の暴騰劇につながりました。

日米欧中の「世界4極」が揃って「緩和継続」というのは、

ちょっと珍しいほどの好環境です。

そんな状況で、売り込んでも下値が支えるのですから、上昇するしかありません。

このタイミングで「ターゲット達成」を成し遂げた安倍政権は、

まるで、「何かを引き寄せる力」を持っているようです。

これまで、安倍政権とアベノミクスの可能性に賭けてこられた方にとっては、

めくった札が「吉」と出たわけで、まことに結構なことではありました。

私自身は「高値から高値への上値追い」は絶対にしないと戒めていますので、

このアベノミクス終盤に至っての買いは、よほど深く押した際しかしませんし、

そもそも、今、この株価位置にあるのは「異常だ」と考えていますので、

1月16日の「底」で買いを入れたのを最後に、買ってはいません。

何度も書きますが「上昇する可能性がある」ということは、

「確実に上昇する」こととは違います。

まして、「運頼み」で相場を張り続けると、最初の2回や3回「吉札」を引いても、

必ず、4回目、5回目で悪い卦を出すことになり、

そこで熱くなって無茶なエントリーをするところから、その身を滅ぼします。

「2万円に到達する」というのも、「可能性の高い予測」でしかなかったわけで、

それこそ、政権を揺るがすスキャンダルが一本出れば、パーになる性質のものです。

NY市場は頭打ちとなりつつあり、18000ドルのカベで何度も引っかかっていますが、

「利上げ先送り」を打ち消す要人発言がひとつでも出れば暴落する可能性があります。

この株高局面は、やはり「危うい」基盤の上に成り立っているものに過ぎず、

日本企業の収益力と明らかに乖離した上昇が続くなかでの買いはやはり危険。

政府が「日経平均2万円」を「政治目標」にしているのは百も承知ですが、

本来の「居心地のいい水準」を考えると、「下げて当然」の株価位置です。

私としてはいかなる意味でも買う理由はありません。

むしろ、一服したところを狙って、売っていくつもりです。

ま、それは私の投資ポリシーですので、読者の皆様は従う必要もありませんが、

いずれにせよ、「異常値」から「さらなる異常値」への上昇局面での買いは、

いつ、いかなる瞬間に梯子が外されるかわからないことだけは頭に入れ、

状況が一変すれば適切に対処する準備だけは怠りなきよう。

少なくとも、古今東西、投資の鉄則として先人達が戒めるのは、

どんなに「確実だ」と思っても、資金量いっぱい、満玉での売買は、常に危険です。

さて。

「日経平均2万円」という歴史的な節目に到達した今、

私たちが考えなければいけないのは、「この次」はどうなるかということです。

その際に、安倍政権の経済政策を冷静に分析してみたいと思います。

「3本の矢」を動員したアベノミクス。

「第1の矢」である「異次元の金融緩和」は効果がありましたが、

「2年で2%のインフレ」は結局、達成できずにいます。

「第2の矢」である「機動的な財政出動」ができたのは初年度だけで、

財政健全化の必要性に迫られて、もう神通力を失っています。

「第3の矢」の「規制改革」に至っては、会社法改正とガバナンス・コード以外は、

何をどう改革したのかよくわからず、ほとんどの案件が雲散霧消になりつつあります。

まだ「本命」と思われる大改革(メルマガで書くあれです)が残ってはいますが、

これを阻止しようとする勢力との間に大バトルが続いています。

安倍政権はその「本懐」である憲法改正をやり遂げるため、

支持率維持を主目的として、なりふりかまわぬ株価操作を続けており、

軍需や原子力などを中心にした「統制経済」を導入しつつありますが、

読者の皆さんに、冷静になって考えていただきたいのは、

この状況は、本来言われていた「アベノミクス」の姿なのかどうかということ。

アベノミクスが失敗したかどうかはともかく、

当初に打ち出されたものとは、似ても似つかぬものに変容してしまっています。

それを「アベノミクス2.0」と呼ぶかどうかはともかくとして、

2015年4月現在の「実際のアベノミクス」を要素分解してみると、

黒田日銀は期限内のインフレターゲット達成に失敗し(第1の矢の失敗)、

財政は1000兆円の借金の重みで身動きがとれなくなり(第2の矢の失敗)、

規制緩和より統制経済に向かっていますが(第3の矢の変容)、

それを「5頭のクジラ」による相場操縦で支えているという姿が浮かびます。

問題は、この「実際のアベノミクス」が持続可能なのかということです。

無論、相場というのは「集団心理」で動くものであり、

そこに合理性が存在する必要が、必ずしもあるわけではありませんから、

経済実体とかけ離れた高値、安値に移行することもしょっちゅうですが、

いったん、数値的に合理性のない株価形成をしても、

間を置いて必ずそれを「正す」働きが始まります。

読者の皆様は、それぞれの投資法に励んでおられると存じますが、

順張りの方も、逆張りの方も、「実際のアベノミクス」の姿を冷静にみて、

「いつ、本来あるべき位置」に戻る働きが始まるかを分析することが、

何をさておいても、今後の最大の課題になると思います。

詳しい分析は、また次号メルマガ(第51号:4月12日発行)で。

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